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うぬぼれ竜士 ~地球防衛軍英雄譚~
第11話 飛鳥竜士の過去
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ドも力を尽くしてきたが――このロンドン基地にいるEDF隊員の現場活動の要となっているのは、紛れもなくリュウジなのだ。
 街の人々も快く彼を受け入れており、EDF隊員も民間人も問わず、彼とこれから共に助け合って、このロンドンを復興して行こう――という時に。こんな形で本人がいなくなってしまったとあっては……どれほどの人々が落胆するだろう。

 リュウジと共に幾つも目にしてきた、こんな時代の中でも前を向いて笑う人々の姿を、思い出す度に。フィリダの心が、ただ真っ直ぐに突き動かされて行く。
 彼を――失いたくない。渡したくない、と。

「今、街のみんなが! ロンドン基地のみんなが! リュウジを必要としているんです! このロンドンの復興体制を参考にしたいと仰るなら、今のまま、リュウジをここにいさせてください!」
「……そのことは私も理解している。彼がここに来てからの勇躍振りは、ここに来る前からこちらも把握している。――それでも、彼を呼び戻したい理由が他にもあるのだ」
「他の理由……!?」

 昭直は腕を組み、神妙な面持ちで席から立ち上がったフィリダを見上げる。

「今、極東支部では激減した陸戦歩兵部隊を再編成するため、教官職が務まる生き残りの隊員を集めている。この大戦を生き延びた、強者たる陸戦兵を」
「教官職……!?」
「その中心となる、教育大隊長のポストに『伝説の男』を招くつもりだったのだが――彼は、最後の戦いで行方不明となっていてな」
「まさか……その後釜にリュウジを!?」
「その通りだ。『うぬぼれ銃士』の飛鳥竜士としては務まらないが、私の息子である一文字竜士としてなら箔も申し分ない。EDFの大幹部としてのポジションを捧げることが、今の私に出来るただ1つの償いだ」
「陸戦兵のヒラ隊員から、大隊長か……。前代未聞の大出世だな」

 昭直から出された破格の提案に、バーナデットは驚嘆と共に息を漏らす。――だが、反対はしていない。
 リュウジが副司令の息子として生きるならば、それが自然なポストだからだ。

「――義父さん。かのんを殺した私は、もう一文字竜士には戻れないんです。飛鳥竜士として生きられる場所がないのであれば……私は、ここを離れるわけには参りません」
「……なぜだ、竜士。ふるさとが恋しくはないのか」
「日本を忘れたわけではありません。……今はただ、リュウジ・アスカとしての期待に応えたいだけなのです」
「竜士……」

「――義兄さんっ!」

 だが、リュウジにその話を引き受ける気配はない。毅然としたその佇まいに、フィリダは頬を染め、アーマンドは軽く口笛を吹いていた。
 それでもなんとか説得しようとする父を遮り、かりんが胸を揺らしてリュウジに迫る。

「姉さんのことで自分が許せないなら、その分まで私が許す
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