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うぬぼれ竜士 ~地球防衛軍英雄譚~
第11話 飛鳥竜士の過去
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ってたわ」
「へぇ……」
「……」

 自慢げにリュウジの活躍を語るかりんは、先ほどまでとは正反対の饒舌さだった。そんな彼女の姿に、フィリダは微かに唇を噛む。
 ――彼女は、自分が知らないリュウジを、たくさん知っている。それが、悔しかったのだ。

 その一方で、昭直もどこかばつが悪そうに視線を逸らしている。思い出したくない過去を、掘り返されている人の顔だ。

「それから戦争が終わって、1年が過ぎて。意を決して告白した姉さんが、義兄さんを連れて笑顔で帰って来た時は、家中大騒ぎだったわ」
「……初めてかのんが男を連れてくる、と聞いた時は『どこの馬の骨とも知れんヒラ隊員に娘は渡さん』……と言ってやるつもりだったのだがな。今や、この有様だ」

 昭直はリュウジに似た苦笑いを浮かべ、義理の息子を見遣る。娘は父親に似た男を好きになる、ということだろう。

「――だが、まさか竜士がかのんを受け入れてくれるとは思わなかった。彼の両親を死に追いやった私を、許せるとは思えなかったからな」
「えっ……?」
「かのんとかりんが襲われたあの日。私は、現場のEDF隊員に……『装備を放棄して撤退せよ』、と命じていたのだ」

 すると、昭直は観念したかのように肩を落とすと、リュウジを一瞥して己の罪を語る。第一次大戦の中、自分が下してしまった決断を。

「インベーダーの未知数の力に、当時のEDF隊員は情報不足ゆえに苦戦を強いられていた。……より多くの隊員を生還させ、反撃のためのデータを持ち帰るには、そう命じるしかなかったのだ」
「……」
「だが……その命令により退避した隊員に守られていた、竜士の御両親が犠牲となってしまった。――命令に反してでも娘達を守ってくれた彼の恩に、私は仇で返してしまったのだ」
「義父さん、それは――」
「――許す、と君は言ってくれたな。そこまでされて、娘を任せられないはずがなかろう……。私はあの日から、君の父になると誓ったのだ」

 昭直は昔を懐かしむように、天井を仰ぐ。そして、暫し目を閉じ――再び、リュウジの方へと視線を移した。

「だが……私達は、君を幸せにすることも、守ることもできなかった」
「なにが、あったのですか?」

 鎮痛な面持ちの昭直に、フィリダはおずおずと問い掛ける。想い人のことを、もっと知りたい。理解したい。その願いゆえの行動だった。
 そんな彼女の胸中を見抜いてか、かりんの目つきが鋭くなる。

「第二次大戦が始まってすぐ……竜士は日本戦線で、巨獣ソラスと戦った。身重のかのんを、戦闘に巻き込まれた自宅から逃がすために。……その陽動と撤退は、うまく行っていたのだが……」
「……私が逃げ遅れて、戦場のど真ん中に取り残されて――義兄さんは私を助けるために、姉さんの護衛を同僚に託して、戦
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