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うぬぼれ竜士 ~地球防衛軍英雄譚~
第9話 泥棒猫
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彼女に応え、フィリダは手を伸ばして握手を交わす。――その時。

 艶やかな彼女の唇が、微かに動く。何かを、呟くように。

「え――」

 そこにフィリダの注意が向かう瞬間。かりんは、手を離して父の側への引き下がった。

「では、早速ロンドンの復興状況を拝見させて頂きたい」
「畏まりました。どうぞ、こちらへ」

 それを見届けた後、バーナデットは来客を案内すべく歩き始める。昭直とかりんは、そんな彼女の後をゆっくりと追うが――フィリダだけは、すぐには動けずにいた。

(彼女、今……)

 あの握手の瞬間。
 誰にも聞かれないような小声で、呟かれた気がしたからだ。

 ――泥棒猫、と。

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