暁 〜小説投稿サイト〜
うぬぼれ竜士 ~地球防衛軍英雄譚~
第7話 君が笑ってくれるなら
[5/5]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
――ようやく、前に進めたと感じた少女は、満面の笑みで答えるのだった。それを目にして、コリーンは思わず目を剥く。

 それは――長い付き合いの親友が久しく見ていなかった。心からの、笑顔だったのである。

(……今はただ、この街を守り抜こう。これ以上、何も失うことがないように。そうすることで、もしも――君が笑ってくれるなら、オレは……)

 そんな彼女の、輝かんばかりの笑顔を見守りながら。リュウジは微笑を浮かべ、右目の傷から指先を離す。
 少女の笑顔に希望を見た今なら――もう、この傷が痛むことはないのだから。






 ――ところが。

「……ところで、気になったんだけど」
「どうしました? コリーンさん」
「アスカさん、一体今いくつなの? 2年前の前大戦から活躍してるって聞いてるけど――どう見たって私達と同年代じゃない!」
「まぁ、日本人は欧米人より若く見えるそうですし。私は今年で24になります」
「ちょっ……えぇ!? 24って……私達より7つも上だったわけぇ!?」
「ええ、まぁ。1年前に結婚して、子供も産まれる予定だったのですが、今大戦で……。あ、いえ、すみません。気になさらないで下さい、極東支部ではよくある話ですから」
「しかも妻子持ちぃいぃい!? そしてバツイチぃいぃい!?」

 著しくデリカシーに欠けるコリーンの発言により、次々と明らかになる事実を耳にして。

「……う〜ん……」
「ああっ! 恋する乙女のセンチメンタルが砕けたっ! しっかりしてフィリダぁあ!」

 驚愕する親友の隣で、フィリダは泡を吹いて昏倒するのだった。


 ――これが。とある戦後の、平和な一幕である。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ