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うぬぼれ竜士 ~地球防衛軍英雄譚~
第7話 君が笑ってくれるなら
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今度は承知しないわよ!」
「るっせぇ! ちょっと二人に言いたいことがあるだけだ、外野はすっこんでろ!」
「えっらそうに! 前の戦闘でもアスカさんやフィリダに助けられてたくせにっ!」
「俺だって活躍したっつーの! お前こそ市民の避難誘導がどーのって理由付けて、真っ先に逃げ出しやがっただろーが!」
「なによ!」
「なんなんだよ!」

 それに応じるようにアーマンドも声を荒げ、二人はしばし睨み合った。その後、同時に「ふん!」と鼻息を吹き出して、互いにそっぽを向いてしまう。

「ええと。それで、御用件は?」
「用件ってほど、大事なことじゃねぇ。まー、その……あれだ、あれ……」

 それから、暫し頭を掻き毟り、考え混むような間を置いて――アーマンドはようやく、2人に対して口を開いた。

「……お前らのこと、腰抜けだの疫病神だのって、言いたい放題言って悪かった。そんだけだ」
「……え?」

 その口から出た言葉を、予想していなかったのか――フィリダとコリーンは、狐につままれたような顔で互いを見合わせていた。
 一方、リュウジはアーマンドが言おうとしていたことを察していたのか――特に驚いた様子もなく、穏やかな面持ちのまま彼の出方を見守っていた。

「……ちゃんと謝ったからな! 根に持つなよ、じゃあな!」

 誰1人、何も言葉を返さないことで恥ずかしくなったのか。アーマンドは顔を真っ赤にして捨て台詞を残すと、数枚の札をテーブルに叩きつけて立ち去ってしまった。
 外では彼の仲間達が、バイクを止めてリーダーを出迎えており――何を話しているかまではわからないが、仲間達の笑いに対し、拳を振り上げて怒っていることから、からかいを受けていることが伺えた。

「……何なのあいつ。今までずっと、フィリダを目の敵にしてたはずなのに」
「アーマンド……」

 コリーンは訝しげに、フィリダは信じられない、という表情で。ぶっきらぼうなバイク乗りの青年の背を、見えなくなるまで見送っていた。

 ――恨みを忘れたわけではない。彼女の勇猛さのせいで、命を落とした同期もいる。
 ただ、自分達と同じEDFの男性隊員でありながら、ペイルウイングを助けられるほどに強い上、人に好かれる優しさもある新入りが現れたことで。同じ男としての、自分の情けなさを思い知らされたから。
 このままじゃ、居ても立っても居られないから。思うままのことを口にした。

 それだけが、アーマンドを突き動かしていたのだ。それを知っているのは彼自身と、その仲間達と――同じ男として、その胸中を察したリュウジだけであった。

「――どうやら、信頼出来る仲間は……思っていた以上に多かったようですね」
「……うん!」
「フィリダ……!」

 そんなリュウジの穏やかな笑みに
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