Side Story
少女怪盗と仮面の神父 48
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かった。
クナート達に付いて行くと決めたのは、マーシャルの一存だ。
アルスエルナの外へ出てしまえば、マーシャルの身を護ってくれる物は、エルーラン王子が用意した身分証明と渡国許可証だけ。
クナート達が必ず護ってやると言い切ったが、バーデルはアルスエルナを敵視する国の筆頭だ。敗戦の影響でアルスエルナより治安が悪いとも聞く。
ほんの少しの油断で、また酷い目に遭って壊れたりはしないか。今度こそ本当に喪ってしまうのではないかと、気が気でない。
一緒に行けたらどんなに良かったか。
鞘に収まっている短剣を手に取ろうとするだけで猛烈な吐き気に襲われ、気を失いそうになる自分が、どうしようもなく情けなくて、腹立たしくて、煩わしかった。
「私は……どこまで……っ」
苦悩を抱えても、時間は無情に未来へと進む。
ずっと村民に扮して世話をしてくれていた第二騎士団所属の女性騎士達も各々の日常生活へと戻り。
エルーラン王子が別荘代わりとして個人的に買い取っていた一軒家には、ハウィスとエルーラン王子と、王子の護衛騎士二人が残った。
マーシャル達が出て行った数日後、王子達も予定通りの視察を終え。
そろそろ王都へ引き返すかと準備を始める中、不意に首を傾げた。
「そういやハウィス。お前、あの子供と何かあったのか?」
「子供?」
「……気付いてなかったのか」
私達がネアウィック村に到着する少し前から、らしいんだが。
毎日この家を覗いてく子供がいるんだよ。
雨の日にも、雨除け一つ持たずに一人でヨタヨタ歩いてくるもんだから、お前を世話してた奴らが気にしててな。
風邪を引かれても困るからって家に上げようとしても、玄関の前でお前が無事かどうかだけ尋いてすぐに帰る、をくり返してたんだと。
「子供の養父が捜しに来るか、ウチの連中が子供の家まで送り届けるかは、その時の状況次第らしいけど」
「な……っ??」
アルフィンだ。
アルフィンが来ていた。
雨の日にも雨除け一つ持たずに……一人で?
五歳にも満たない小さな子供が、たった一人で雨の中を出歩いていたと?
ありえない。
ティルティアがそんな危ない真似を許す筈がない。
あの母娘に何があった?
それに、と唇を動かしかけて
「確か、アルフィン……だっけ? 金髪で色違いの目。あれは珍しいよな。アルスエルナ国内だと、自殺したウェミアを数に含めても、歴史上四人目か五人目くらいじゃないか? ウェミアの場合は、政略結婚を機に貴族籍から降ろされるまで、幸福の兆し? とかなんとか言って、実家でも勤め先でも重宝されてたって話だが。南西部のほうじゃ虹彩異色症の子供が生まれてもどこ吹く風なんか
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