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真田十勇士
巻ノ百七 授かった術その七

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「むしろじゃ」
「大御所殿の方が」
「そうじゃ、あの御仁の方がじゃ」
 家康のことも言うのだった。
「そのことに必死じゃ」
「父上よりご高齢ですし」
「されようとしていることもな」
 それもというのだ。
「わしよりも大きい」
「だからですな」
「わし以上にじゃ」
「意識されてですな」
「長生きされようとしている」
 そうだというのだ。
「あの方はな」
「そうですな
「ご自身で薬を調合されてな」
「それを飲まれ」
「そして鍛錬も欠かされぬという」
 高齢になってもというのだ。
「食も節制されてじゃ」
「贅沢に溺れず」
「そうされておる」
「だからですな」
「あの御仁はわし以上じゃ」
「そして長生きをされて」
「生きておられるだけな」
 まさにその間にというのだ。
「幕府の地盤を固めようとされておる」
「そしてその一つとして」
「大坂も手に入れるおつもりじゃ」
 この地をというのだ。
「その様にもお考えじゃ」
「江戸から東国を抑えていて」
「駿府や名古屋と天下の要所も抑えた」
「そして越前も」
「そうじゃ、しかしな」
「西国を完全に抑え治めるには」
「何といっても大坂じゃ」
 この地だというのだ。
「だから何とかな」
「生きておられるうちに」
「あの地を収められるつもりじゃ」
「では大御所殿が生きておられるうちに」
「何としてもじゃ」
 昌幸は幸村に答えた。
「天下を全て治められる為に」
「動かれますか」
「その為にな、だからな」
「大坂を手に入れられる為に」
「多少手荒なこともじゃ」
「有り得ますか」
「うむ」
 そうだというのだ。
「そうなる」
「ですか、では」
「その大御所殿に負けぬ様にな」
「父上は長生きされますか」
「養生に務めてな」
 そうしてというのだ。
「何とかじゃ」
「では是非」
「そうしていく、あと気になることは」
「何でしょうか」
「お拾様じゃが」
 秀頼のこともだ、昌幸は話した。
「中納言からこの度右大臣になられるな」
「その様ですな」
「早いのう」
 眉を曇らせてだ、昌幸は言った。
「どうにも」
「官位が進むのは早いのはですな」
「不吉というな」
「源右大臣殿もですな」
 鎌倉幕府の三代将軍源実朝だ、事実上源氏の棟梁としての鎌倉幕府最後の将軍として知られている。
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