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とある3年4組の卑怯者
35 散歩
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綺麗ですよね」
「ええ、あなたは外国からおいでで?」
 佐々木はリリィの顔を見て聞いた。
「はい、私のお父さんがイギリス人で今年から日本に来ました」
「そうですか。なら今度あなたのために和服を一着差し上ましょうか」
「え?嬉しいですけど、着物って結構高いんですよね?」
「いえいえ、あなたはまるちゃんのお友達のようですし、サービスとしてお安くして差し上げますよ」
「あ、ありがとうございます!」
 こうして一行は佐々木と別れを告げた。

 一歩きして一行は公園に着いた。永沢が太郎をベビーカーから降ろす。
「よし、太郎。歩く練習をしようか」
「あー、あー!」
 太郎は永沢に手を掴まれながらほんの2、3歩だが歩いた。
「太郎君歩けるのね」
 城ヶ崎が感心をする。
「ああ、毎日練習してるんだ」
「あんたこう見えても弟思いなのね」 
「『こう見えても』とは何だ!僕にとってはいつもの事だぞ!」
「そうなの。あんた嫌味ばかり言うから太郎君にまで嫌な思いさせているんじゃないかとおもって心配になったのよ」
「何だと!?僕にだって優しさはあるさ!」
「じゃあ、嫌な事を言わなきゃいいじゃないっ!藤木を卑怯呼ばわりしたりとかっ、さくらさん達にケチをつけたりとかっ!」
「う、うるさい!でも本当の事じゃないか!」
 その時永沢が城ヶ崎との口喧嘩で気を取られて、太郎から手を放してしまい、太郎が転倒した。
「うわーん、うわーん!!」
「あ、太郎君が!」
 リリィが哀れに思って言った。その時、城ヶ崎の犬のべスが太郎の元へ寄る。べスが尻尾を振って太郎に舌を出して笑っているような表情を見せた。太郎が泣き止んた。
「あ、べス・・・」
「どうやら太郎君が可哀想だったんだね」
 まる子がべスの行動に感心した。
「ええ、本当。べスは永沢には吠えるのに、太郎君には優しいのね」
 永沢が太郎を抱き上げながら反論する。
「え!?君の犬が僕に対して吠えたてるのがわかってたのか!前はすぐ僕がちょっかいをだしたとか言い掛かりをした癖に!!」
「あ、あの時はただそう思っただけよっ!!」
「嘘だね!僕のせいにして、だから君は生意気なんだ!!」
「何よっ!!」
「もう、二人とも喧嘩やめなよ・・・みっともないよ」
 まる子が止めようとした。
「そうよ、せっかく太郎君のために散歩しているのに、太郎君もそんな姿見たくないはずよ!」
 リリィも止めようと叫ぶ。その時、後ろから男子の声がした。
「やれやれ、永沢君も城ヶ崎さんも相変わらず喧嘩ばかりだな」
 リリィ達が後ろを振り向いた。爽やかそうな男子が立っていた。
「あら、あんたは鹿沼君っ?」
「え、誰?」
 リリィが聞いた。
「3組の鹿沼正倫(かぬままさみち)よ。私2年生の時一緒のクラスだった
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