第21話『奪われた流星の丘アルサス〜忍び寄る魔王の時代』【Aパート 】
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代。今に至る歴史から、これからの未来達を、どこへ向かって着地すべきか。
「……はい」
ティッタは固唾を呑んで返事をする。だが、その瞳は一片の迷いもない。
「戦い……以外で?」
それ以上、フィグネリアにはいくら考えても分からない。多分、二人にしかわからないことなのだろう。
このまま村へ入れば、銀の逆星軍との戦闘はどのみち避けられない。
傭兵に『戦場で出会った知己がいる場合は一思いに殺せ』という鉄則があるように、領地を奪い取った野盗にも、こういう鉄則がある。『よそ者には死あるのみ!』と。
王の聖権を奪いし獣の王。その頂点に立つ獅子王の所業は、まさに野盗だと裏付ける。
だが、凱とティッタ――――二人の『先導者』は別の思惑があった。
それは、かの魔王テナルディエと対峙するまで温存しなければならない、ティッタの『想い』そのものだった。
ついに凱達は麓を降りて、ユナヴィールの地に辿り着いた。
【夕刻・アルサス・ユナヴィールの村・中心跡地】
「勇者殿……ここで別れましょう」
ひとまずユナヴィールの村へたどり着くまでの間、ザイアンはずっと考えていたことを口にした。
凱はザイアンに振り向いた。その瞳はやや見開いたままだった。
「オレはこのまま、セレスタへ向かう」
つくづく情けないと、ザイアン自身思う。先ほど凱に『父を止めてほしい』と決意したにも関わらず。
セレスタとは、アルサスの中心都市であり、現在テナルディエが牛耳る奴隷都市となっている。
それでも、あの時と同じように凱はザイアンの表情を逃さないよう見つめる。同時に、ザイアンも凱の瞳を見据えて言った。
「やっぱり……父上とちゃんと話がしたい」
「坊や?」
凱ではなく、今度はフィーネが目を見開く。同じ『種』から生まれ出でたテナルディエ家とは思えぬ、彼自身の振舞いに。
「ザイアン様!……それは!?」
ザイアンには、ティッタの言わんとしていることが分かっていた。
このまま何の成果もなしに帰還すれば、ザイアンの待つものはおそらく『死』かもしれない。息子を溺愛するかつての父は既に他界したと、ザイアン自身既に決めつけていた。『銃』という、より強い力に固執するテナルディエ当主は、ついに息子さえも見向きしなくなったのだ。
これからザイアンのしようととしている、その行為に伴う危険を、ティッタは指摘しようとしていたのだ。だが、ザイアンは首を強く横へ振った。
「そんなことはとっくに分かっている!でも!……でも!……オレの『父上』なんだ!」
今抱くザイアンの考えは決して変わらない。『雨後の茸』を焼き払い、弱者を全て滅ぼすという、父の目指す理
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