第三章
第三章 大都市で起きた不可解な事件
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紫龍と申します。長旅ご苦労様でした」
山奥に流れるせせらぎのように美しい声で流ちょうな口調で話す彼。素敵な笑顔を崩さないまま。一応不審者じゃないことが分かり、ランファはルシアの背中から顔を覗かせ紫龍に質問をする。
「なんでドルファの人が来てるの?」
「実は……」
一瞬、紫龍の笑顔が崩れ悲し気な表情となった。そして申し訳なさそうな顔で
「本日予定してましたドルファ立食パーティー。それが先日あった事件のせいで、二週間延期する事になってしまったのでそのことをお伝えしにまいった次第です」
紫龍はぺこりと頭を下げた。その動作につられてルシアもつい頭を下げしまう…というよりもだっ。
「えぇぇ!!? ご飯は延期なのっ」
食べる事なかり考えているランファのことは置いておくとして
「……事件?」
「申し訳ありません」
シレーナが聞き返してみたが紫龍は申し訳なさそうにまたぺこりと頭を下げ
「お詫びと言ってはなんですが。我がドルファフィーリングが運営する宿で長旅の疲れを癒してくださいませ」
沈んだ悲し気の表情が一転、またあの素敵な笑顔となり紫龍は説明を続ける。ランファでも分かるように優しく丁寧に。
「それからルシア様の身にもしもの事があってはいけないので、せいげつながらボディーガードをつけさせていただきます」
「ぼでぃーがーど…?」
紫龍は斜め後ろに建っている丸い大きな柱に視線をやる。
「ムラクモさん。いつまでも隠れてないで出てきなさい」
ルシア達に話しかけた時の優しい口調とは違う、冷たく少しトゲを感じるような口調で柱の後ろに隠れている人物に対し言う。
「……ッ!! は、はひっ!!」
噛んだ。第一印象はそれだった。
柱の後ろから出て来たのは、林檎のような真っ赤な伸ばした神を頭の左側でひとつに纏めているサイドテールと呼ばれる髪型で、エメラルドのような瞳で紅いドレスのような服を着た女性だった。彼女が服の上に羽織っている赤いポンチョは、ランファが着ている赤いポンチョとよく似ているような気がするがこちらの方が新品同然で綺麗だ。
美人の登場に思わず綺麗な人…と見とれてしまうルシアはそれを横で見て不満そうに見つめる乙女が二人居たことなんて知る由もない。
出て来た女性はもじもじとしてなかなかルシアたちの方へとやって来れないでいる。柱の後ろから出て来てルシアと目合って林檎のように真っ赤な顔になると、また柱の後ろに隠れてうぅうと鳴き声が聞こえてくる。この繰り返しを何回か見さされている。
「申し訳ありません。彼女は極度の恥ずかしがり屋で…」
紫龍が上司として彼女の代わりに謝る。彼女も柱の後ろに隠れたまま「すっ、すいません…」と謝るが
「そう言うことは
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