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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第642話】
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夫婦関係ではありませんわよ!」
ラウラの言葉に反応したセシリア、声を荒げるもヒルトは目覚めない。
「セシリア、静かにしないとヒルト起きちゃうから……。 ぼ、僕は最近ヒルトが元気ないから元気つけようかなって……」
「こんな夜更けにヒルトをどう元気にさせるのよ、シャルロット……」
ジトーッとシャルロットを見る鈴音だが、ここにいる大半は夜這いが目的の為、事実が露呈すれば全員アウトになるのは言うまでもなかった。
身体を丸めて寝ていたにゃん次郎も女子の騒ぎに目が覚め、暗闇の中怪しく瞳を輝かせていた。
「わ、私は内密な相談をしに来ただけだ。 故に正当性はある、うむ」
正座して腕組みし、頷く箒。
だがそもそも、深夜に相談を持ち掛けるのは非常に迷惑な行為だとこの時点では気付いていない。
「いや、普通夜中に相談とか常識的に考えてありえないでしょ」
「な、なんだと……ッ」
鈴音の容赦ないツッコミに眼光鋭く睨み、ギリギリと歯を噛み締める箒に対して鈴音は特別気にすることなく髪をかきあげて靡かせる。
この中の誰一人としてろくな大義名分もなく、ヒルトの部屋に押し掛けたのだ――夜這いが大義名分になるかは個々によるが。
「と、とにかく! 皆大した用事じゃないなら部屋に戻ってよ! お兄ちゃんの身の安全は美冬が守るんだから!」
「ズルい! 私だってヒルトを守る!」
「ええぃっ! 内密な相談を先に私がするのだ!」
「お待ちくださいまし! わたくしは優先権を行使しますわ!」
「何言ってんのよセシリア! 何の優先権なのよッ!!」
「み、皆、騒いだらヒルトが起きちゃうから……ッ!」
「うむ、これ以上騒がれても――あっ!?」
一同が言い合い、何かの拍子にラウラが持ってきた『今夜はぐっすり薬三号』の瓶が手元から滑り落ち――中身が室内に溢れる。
蓋が開いていたのだ、何故開いていたのか――ラウラは咄嗟にこの場に居る者達全員を眠らせようと企んだからだ。
液体は畳にシミを作り、臭いが一気に室内に充満するやヒルトを取り囲む形になってその場に居た全員が深い眠りにつくことになる。
ヒルトと夜を共にするという行い自体は全員叶えた形だが、ヒルトと添い寝が出来たのは誰かというと――。
「……にゃふ……」
騒ぎの最中にヒルトの布団の中に潜り込んだにゃん次郎の一人勝ちという結末に終わった。
そんな騒ぎがあったとは知らず、明朝ヒルトの意識はゆっくり覚醒の兆しを見せていた。
「ん、ふわぁ……。 何か臭い……?」
まだ微かに残る今夜はぐっすり薬三号の臭い――だがヒルトを二度寝に導くほどの効力
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