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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜《修正版》
ALO編ーフェアリィ・ダンスー
22.世界の中心・アルン
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シルフの少女が目を覚ましたのは、アルヴヘイム央都《アルン》の宿屋の一室だった。
昨夜──正確には今日の早朝に眠い目を擦りながら最寄りの宿屋にチェックインし、ベッドに転がり込んだ。
リーファは体を起こすとベッドの端に腰をかけて心の奥に突き刺さる切ない痛みと目尻に溜まる涙を堪えていた。
直葉はログアウトしてすぐに眠りについた。次に起きた時には、八時を回っていた。今朝は和人の方が早く起きており、一緒に朝食を済ませた。
そして和人がアスナのお見舞いに行くということで直葉も同行した。
自分でもどうしてそんな事を言い出したのかは分からなかった。しかし、一度会って見たいという気持ちもあったの確かだった。
二人でアスナが眠る病院へと向かってそこで対面した。
結城明日奈───眠っている姿はまるで妖精のようだった。
濃紺のヘッドギアが頭を拘束している姿に直葉は、あのゲームに囚われていた和人や集也を思い出した。
そしてそれと同時にあの絶望を浮かべ、今にも壊れてしまいそうな状態で道場に現れた少年の言葉が思い出された。
───……あいつも、アスナも助けられない……
あいつとは一体誰のことなのだろうか?
向こうで和人とアスナが一緒にいたということは聞いた。集也がアスナのことを知っているということはもしかすれば和人に聞けばわかるかもしれない。
しかし、それを直葉はしてはいけない気がしていた。
それを知ってしまえば、多分集也は今まで以上に直葉との距離を置いてしまうだろう。それだけはなんとなくわかった。
しかし、アスナの姿を優しくも愛おしくも悔しそうにも様々な感情が入り混じった瞳で見つめる和人を見ていると直葉の胸の奥を、鋭い痛みが貫いた。
アスナが目覚めても集也の思いは届くことはない。そうわかってしまったからだ。
そして───直葉の思いも決して届くことはないということも。
涙を堪えていると傍に人影が出現した。リーファはゆっくりと顔を上げた。
シュウは、大きく伸びをしたのちにこちらに気づき、柔らかい声で言った。
「どうしたんだ……リーファ?」
「あのね、シュウ君……。あたし……あたし、失恋しちゃった」
シュウの瞳はまっすぐにリーファを見つめていた。彼を見ていると全てを話してしまいたい───という衝動に一瞬駆られたが、ぐっと堪える。
「ご……ごめんね、会ったばかりの人に変なこと言っちゃって。ルール違反だよね、リアルの問題をこっちに持ち込むのは……」
無理やり笑みを作ってリーファは早口で言った。しかし頬を伝う涙は一向に止まらない。
シュウの右腕がこちらへと伸び、そして頭に乗せようとして止まる。
「……別にいいよ。俺でよければどれだけでも聞くよ。それにゲームでも辛い時は泣いたっていいんだよ」
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