一話
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」
「え、はい。お茶をいただいてました‥‥‥」
「だったら話は早ぇ」
チンピラたちは茶店に向き直り店主へとにじり寄って来た。
「初日から店を荒らされるわけにはいかないんだ。帰ってくれ」
「あァ?」
彼の一言に腹を立てたのか乱暴に胸倉を掴んだ。
「‥‥‥離してくれ」
「や、やめてください!。元はと言えば私が悪かったんです!だから‥‥‥」
離してあげてください、とでも言おうとしたのだろうか。
彼を掴む粗暴な手を取り払おうとする。
顔色は真っ青とまではいかないが優れず足が震えていた。
「このアマッ!」
これに業を煮やしたチンピラの一人が彼女の肩を強引に掴み突飛ばそうとした。
「待て」
「あァ?誰だてめぇは」
「俺か?俺はここいらの近所に住まう者だ。それにしても女子に乱暴とは関心せんな」
「正義の味方気取りかァ?色男さんよお」
もう一人のチンピラが此方へと歩み寄って来た。
「これは俺たちと茶店との問題なんだ。痛い目見たくなかったら引っ込んでろ!」
怒鳴るようにして叫んだ彼を尻目に新之助は淡々と言う。
「だからどうしたというんだ。それよりも手を離せ」
「てめ!?怪我ァしても知らねぇぞお!!」
握りこぶしを作り此方に殴りかかって来る。
所謂、素人の構えだった。大きく振り上げた右手は一直線に新之助の頬を狙う。
だが所詮は素人。
紙一重で避けた。
「うお!?」
かなり力を籠めていたいたらしくバランスを崩し身体を前へと傾かせた。
その隙を新之助は好機とばかりに尻へと一発蹴りを入れる。
「があ!?」
地面に頭から突っ込み倒れ伏した。
「お、おい!。ちッ、てめぇ!」
仲間の様子に気付いた彼は先ほど同じく殴りかかって来た。
またも頬狙うそのこぶしを避ける。
だが力の加減の機微からか体勢を崩さずに一回転し遠心力を味方につける。
「おらァ!!」
「足が御粗末だぞ」
重心が乗っているであろう片足は地面に螺旋を作っている。
それを見た新之助はその足を思い切り、払った。
ドゴオ!!
「グワッ!?」
「残るのはお前だけだ」
残る最後のチンピラを見据える。
「く、くそっ!覚えてやがれ!」
如何にもチンピラという捨て台詞を吐き仲間を抱えると、この場を去っていった。
呆然としている彼女たち。
「怪我はないか?」
「ふぇ……」
ふいに話をかけられたためか声が上ずる。
「えと‥‥‥あの‥‥‥怪我はないです」
「そうか」
にっこりと安堵の微笑みを漏らした。
「お主。見ない顔じゃのう」
茶店の長椅子に腰を掛けていた少女が訝し気な視線を送ってきた。
ど
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