第二部
第三章 〜群雄割拠〜
百十一 〜義将と覇王〜
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
ならこれが私の裁きよ。異議は認めない」
「…………」
やはり妙だ。
いくら冷静さを失っているとは申せ、華琳ともあろう者が献言を即座に一蹴するとは。
「いいわ。秋蘭がやれないのなら、春蘭が代わりなさい」
「え? し、しかし……」
「あら、貴女まで私に歯向かおうと言うの?」
「い、いいえ! 決してそのようなつもりは」
「じゃあやりなさい。この男、もはやこれ以上生かしておく価値すらないわ」
冷たく言い放つ華琳。
が、夏侯惇は呆然とするばかり。
……と。
不意に、辺りが閃光に包まれた。
「な、何事だ!」
「クソッ、何も見えん!」
兵らが右往左往する中、私の目の前に人影が現れた。
「鈴々か」
「そうなのだ。お兄ちゃん、すぐに逃げるのだ!」
そう言うと、鈴々は私を立たせて素早く縄を切った。
「これは?」
「説明は後なのだ!」
「……そのようだな」
そのまま走り出そうとした私達の行く手を、何者かが遮った。
「……ごめんよ、兄ちゃん」
「兄様、ここは通せません」
「季衣に流琉か。……二人共、本意ではあるまい?」
「…………」
答えず、獲物を手にする二人。
「そこをどくのだ、春巻き!」
「どけないんだよチビっ子!」
鈴々と季衣、一騎打ちならばいい勝負になる二人であろう。
だが、今は時が惜しい。
……どうすれば良い。
そんな事を考え始めたが、それも一瞬のうちに終わる事になった。
ドン、と大きな音と共に背後の壁が吹き飛んだ。
「歳っち!」
「……兄ぃ。大丈夫?」
霞と恋だった。
雛里が、霞の背にしっかりとしがみついているのが見えた。
「邪魔するな!」
「行かせません!」
「……無駄。お前達、恋の相手にはならない」
その言葉通り、飛びかかってきた季衣と流琉があっさりと吹き飛ばされた。
「歳っち、鈴々とこれに乗りや!」
「応!」
霞が手綱を引いた馬に、私は跨った。
鈴々が後に続いたのを確かめる。
「皆、済まぬ。参るぞ!」
馬に鞭を入れ、私達はその場から駆け出した。
……ともあれ、まずは皆と合流せねばな。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ