第二部
第三章 〜群雄割拠〜
百十一 〜義将と覇王〜
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どうすべきか。
まず、犯人を捕らえて糺さねばなるまい。
その上で、華琳に詫びねばならぬ。
李典の申す事に相違なければ、私の監督責任が免れまい。
やはり、すぐに華琳に会わねば。
「李典。華琳のところに案内してくれぬか?」
「……それは、無理や思います」
「どういう意味だ?」
「……土方様の捕縛命令が出とるんですわ。華琳様直々に」
私を捕らえる……だと?
華琳ともあろう者が、逆上して取り乱しているとでも?
実の親を殺されたのだ、あり得ぬとは言えぬが……。
「やむを得まい。私を連行するが良い」
「土方様! 何を仰るのですか!」
「楽進。華琳とて落ち着けば話し合いの余地もあろう」
「で、ですが……」
「これで私が逃げ隠れしてみよ、取り返しのつかぬ事になるぞ」
悔しげに唇を噛む楽進。
「ホンマにええんですな?」
「良い。手縄を使うが良い」
私は、両腕を差し出した。
謁見の間。
見るからに憔悴した華琳が、玉座に座っている。
両脇を固めるのは、夏侯姉妹。
そして、荀ケは私を睨みつけている。
「……歳三。随分神妙ね」
「仔細はわからぬが、私の落ち度には違いあるまい。それ故、参ったまでの事」
「そう……。凪、縄を解きなさい」
「は、はっ!」
元より逃げるつもりなどないが、私を縛る縄は明らかに緩かった。
それでも腕が自由になってみると、些か痺れは感じた。
「華琳。下手人はどうなった?」
「……逃げたわ」
「逃げた? この城内からか?」
「……ええ。今、季衣と流琉が追ってるわ。一味のうち何人かは抵抗したから斬り捨てた……そうよね、春蘭?」
「はい、華琳様」
「……それで、この責めはどう追うつもりかしら? 歳三」
私を見る華琳の眼は、どこか違和感を感じる。
例えるなら、攘夷浪士の狂気に満ちた眼……あれだ。
口調は落ち着いているようだが、まだ内心は荒れ狂っているという事か。
「……首でも打つか?」
「斬首ですって?……そんな生易しい事で、私の心が癒えるとでも?」
そう言うと、華琳は立ち上がった。
「秋蘭」
「はっ」
「歳三を牛裂きの刑にしなさい。今すぐに」
華琳の言葉に、その場が凍りついた。
あの荀ケですら、目を見開いている。
「か、華琳様? そ、それは本気で仰せなのですか?」
「勿論よ。それとも、私の命を聞けないとでも?」
「そ、それは……。ですが、まだ」
「我が命に従え、夏侯淵!」
空気が震える程の大音声で、華琳は夏侯淵を一喝した。
「まさか、この男を庇い立てする気?」
「そ、そうではありません。罪は罪として、裁きを受けていただく必要はあります」
「
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