第二部
第三章 〜群雄割拠〜
百十一 〜義将と覇王〜
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い。私は多少氣を使う事が出来ます、ですから土方様の氣も少しは感じられます」
「氣?」
「ええ。どのような人も、必ず氣はありますから。それを扱うには修行が必要ですが」
「ふむ……。華佗という医師と些か面識があるが、その者も治療に使っていた」
「そうです。私のように戦闘の為に鍛える場合もありますが、恐らくその方は医療に向いた氣を扱えるのでしょう」
「だが、私はそのような扱いなどわからぬぞ?」
「ええ、意識しなければそうなります。それで、土方様の氣ですが……非常に澄み切っています。腹に一物ある人物であれば、必ず澱みがあるのですが」
「そうか。が、数え切れぬ程の相手を斬り命を奪っている者が純粋だと申すか?」
「虫も殺さないような人物でも、氣が澱んでいる事はあります。それを以って土方様を貶める理由にはなりません」
熱っぽく語る楽進。
「華琳様とはまた違った、英雄の気質をお持ちだとも言えます。あの方は常に覇道を行かれています」
「私は……義、か」
「ええ。氣が示す通りかと」
そのような見方があるとはな。
徐州に戻ったら、皆に尋ねてみるか。
「あ、おったおった。凪ーっ!」
と、向こうから女子が駆け寄ってきた。
「真桜?」
「探したで……って、まさか!」
人影は、私を見て驚いている。
「真桜? 土方様がどうかしたのか?」
「ど、どうかも何もあるかい!」
「……事情が飲み込めぬが。どうやら、私に関わりのある事が起きたようだな」
「…………」
真桜と呼ばれた人物は、混乱しているのか私と楽進を交互に見ている。
「土方様。この者は私の親友、李典です」
李典か。
魏において、やや地味な存在ながら着実に任をこなした良将であったか。
真名で呼び合うところを見ると、楽進の申す通り真の親友なのであろう。
「それで真桜。一体何が起きたんだ? 話してくれないとわからないぞ」
「……せ、せやな。城内で、人が一人殺されたんや」
「えっ! そ、それで一体誰が?」
「……曹嵩様や」
華琳の父親が斬られただと?
この城内の警備がそこまで甘いとも思えぬ、ましてやそのような重要な人物が……あり得ぬ。
「して、下手人は?」
「……土方様の兵、そう聞かされました」
「我が兵だと!」
咄嗟に走り出そうとする私の前に、李典が立ち塞がった。
「どけ!」
「落ち着いて下さい。今出て行かはったら、捕らえられるかも知れまへん」
「……私が指示した、そう申すのだな?」
「…………」
押し黙る李典。
「待て、真桜! 土方様がそのような真似をするなど信じられない!」
「ウチかて変や思う! せやけど、起きている事はホンマや!」
私は
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