暁 〜小説投稿サイト〜
Blue Sea 『空と海の境界線』
Operation 02-発令、ファーバンティ解放作戦-
放たれた矢
Mission18「守りたい」
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いう軽々しいものでもない。選ばれし者といえど、そこには数々の時間が費やされ、その時間で提督として任命されたものは少ない。少ないといえど例外もあり、その例外は大抵すぐに問題となって追い払われた。
 なら、彼は例外といっても問題に上がらないのはなぜだろうか。


 艦娘に近い年齢で、その心を一番深く理解するという事なのだろうか。
 いろいろなことが混ざったおかげで、何を考えていたか忘れてしまった。





 Oct.24 2006
 艦娘起動試験場

 彼が提督となって数カ月の話。
 照月に搭載されていたTRANS-AMという装備についての、試験を行ってほしいと言われ彼はそこにいた。管制室から彼が指示するだけで照月が行う、単なるそれだけの実験だ。

「TRANS-AMの起動を行え」

 だが――――――それが照月の力を知ってしまい、逆に恐怖づいてしまったうえ、そのシステムの存在は封印されてしまう。その時、実験は失敗した上施設の一部が損失。彼は暫くの間艦隊を行動させることが一切許されなかった。

 彼は赦せなかった。それをうまく使おうとせず、恐怖づいて自分から遠ざかってしまう自分が。そして、そのシステムをたった1回の実験で危険だと判断した上層部が。



 そして、照月の存在を隠すようなことをしたことによってできた傷は癒えぬまま2年が経つ。
 彼はその後提督として復帰し、数々の戦果をあげ「鬼神」とも呼ばれた。だが、彼はあまり気に入ってはいない。確かにかっこいいことだが、それより自分の傷をどう伝えていくかという、それだけに囚われていた。

「司令官?しれーかん?」
「ああ、すまない……吹雪」
 いつもはすぐ言えることも、何故かすぐに言えなくなってしまった。

 照月は、守りたいという強い意志があったからこそ封印を解けた。

 それが、彼が到達した1つの結論だ。
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