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「…いいわ、私がやると決めたんだもの。最後までやり遂げないと意味がないじゃない」
◆◆◆
彼女は味方である女性の後ろをついていく。その姿は普通であり、何も変哲もない光景だが彼女は必死であった。
何よりも、気づかれた瞬間終わりなのだ。終わり、それは彼女の奇跡の終焉を示していた。
「もうすぐ駅です。…切符を買うので、私の後ろで並んだフリをしていてください」
「…分かったわ」
小声で返事をすると、女性は頷いた。
スラム街を出た2人は近代的なビル街の中を通り、目標のC駅に到着する。
C駅も駅ビルが隣接した、とても大きな駅であり駅の中の店々は繁盛していた。霊夢にとって、その賑わいは異常なものであった。人々が行き交い、貴賎問わずして買い物の光景が繰り広げられている──花屋、ファーストフード店、ゲームセンター、その店の類は数えることが出来ないほど存在していた。現在地が載った駅ビルの地図も、その混雑性を表現するのには苦労したようであり、何処に何があるのか一目では理解出来ない仕様になっていた。
だが、彼女はそんな光景を見向きもせず、たたひたすら前へ歩いた。
駅構内、コンコースへと入り普通の奴隷を装った霊夢は女性の後ろを並ぶ。
女性はE区駅までの切符を2枚買うと、霊夢は何かを忘れたフリをしてそのまま列から外れる。
女性はこっそりと霊夢に切符を渡し、霊夢は渡された紙切れの使い方を他の人たちの動きを見て理解した。
2人は何事も無く切符を使って改札を潜り抜け、駅員に疑われなかった。
駅構内の壁には政府と手を結んだPYT研究所のことである、壁一杯に霊夢の行方を探す張り紙を張っていた。
他の客に紛れ、ホームで電車を待つ。
茶色の外套がホームに入る冷たい風の寒さを少し和らげた。
するとアナウンスが入り、電車が到着する旨を伝えると、赤のラインを基調とした電車が駅に入線する。
電車が到着すると、大きな駅であるC区駅で降りる人が波のように電車から降り、霊夢たちはそれに抗うように電車に乗る。ドアが閉まると、電車は音を上げて走行し始めた。初めて乗る電車は、人の多さが際立つ満員電車そのもので、決して居やすい場所ではない。不快感を覚えた霊夢は、電車のイメージを低下させて捉えた。
途中でD区駅に止まり、人の乗り降りの波を彼女は受けたが、必死に耐えた。何よりも、「誰にもバレてはいけない」という精神で彼女は気配を消し続けた。人の多さと正体とを、二つの窮屈さに襲われる霊夢の限界は今に崩れそうであった。
10分くらい走行した電車は、やがてE区駅に停車した。ドアが開くと2人はすぐに降りた。最初からいなかった、という空気を作るために最速で電車から降り、改札を瞬間的に潜り抜ける。C区駅とは違い、小さな駅であるE区駅の前に到着して、女性
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