第十三幕:虹はいつまで見えている?
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なるかは話さないことにした。七夏ちゃんもその事を分かっているのか、いつまで俺がここに居るかという事を訊いてこなかった。その日を伝えるという事は、カウントダウンが始まってしまうからだ。
『虹は、いつまでも見えているわけではない』
忘れかけていた言葉が神経を揺さぶる。虹を追いかけ始めた時、この言葉を意識して撮影してきた。いつしか、虹を見ると「綺麗」という感覚よりも「急がなければ」という感覚の方が大きくなっていた。
俺が出逢った不思議な「ふたつの虹」を持つ七夏ちゃんは、のんびりとした性格だから、その影響で俺自身ものんびりと過ごしていた・・・。これは、虹に対する考え方を大きく変えてくれたのだが、これからは、もう少し気を引き締めるべきだと思う・・・けど、何から手を付ければ良いのだろうか・・・。民宿風水の事で七夏ちゃんに案内された事は、基本的な事のみだ。だから民宿風水の事をもっと知る必要がありそうだ。
そう言えば気になる事がある・・・。この一週間、民宿風水で人の出入りは多少あったが、俺以外の泊り客が居ないという事・・・。今後、俺の宿泊費を免除してくれるという事を考えると、おせっかいかも知れないが、民宿としては大丈夫なのだろうか?
俺は、凪咲さんに訊いてみることにした。
時崎「凪咲さん」
凪咲「あら、柚樹君、何かしら?」
時崎「ちょっと訊きたい事があるんですけど、少しお時間いいですか?」
凪咲「はい。少し、待っててくれますか?」
時崎「はい。すみません」
俺は、居間で、凪咲さんを待つ−−−
凪咲「お待たせしました」
凪咲さんは、お茶と和菓子を持ってきてくれた。
時崎「わざわざ、すみません」
凪咲「いえ。 お話って何かしら?」
時崎「はい。先ほどのお話なんですけど、宿泊費用、本当によろしいのですか?」
凪咲「ええ。七夏の笑顔・・・私からのお願いになりますので。私にとって七夏の笑顔は、宿泊費よりも、もっと大切な事ですから」
時崎「ありがとうございます・・・ただ・・・」
その時、電話の音がした。
凪咲「すみません。ちょっといいかしら?」
時崎「はい」
凪咲「お電話ありがとうございます。民宿風水です」
凪咲さんは電話に応対する。待っている間、特にする事も無いので、どうしても凪咲さんの声に意識を持ってゆかれてしまう。
凪咲「・・・はい。そうです。当宿は、全室禁煙となっております。申し訳ございません。お煙草をご利用頂ける場所は、ございません・・・」
全室禁煙・・・俺が民宿風水に来た時も聞かれた事だ。民宿で禁煙は珍しいと思う。のんびりと過ごせるひとときを楽しむ場所なのに、制限を設けている理由は・・・。以前、七夏ちゃんが電話で話していた事を思い出す。
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