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「はい。私たちも別世界から連れてこられた奴隷たちなのです」
そして霊夢は再び周りを見渡すと、匿ってくれた人たちは彼女に一筋の希望を抱いていた。
「…あなたは最近、マスコミが報道している「幻想郷」から来たと聞きました。そうですよね?」
「そ、そうね…」
彼女はマスコミが何たるものかを知らなかった。ヒュペーリオンのような世捨人迄では無いとは言えども、世間知らずに程があったのかもしれない。恐らく魔理沙に問えば、開口その無知加減を馬鹿にするだろう。
「…幻想郷から来た方たちは超能力を持っていると聞きました。…そこでお願いがあります。どうか私たちを助けてくれないでしょうか?…私達は囚われの身、貴方のような能力者ではないのです──」
「当たり前じゃない!絶対助けてやるわ!」
周りの人たちはそんな「救世主」のような存在の彼女を崇めた。霊夢はその崇拝を、全く固辞すること無く寛容した。澎湃する真相の中で、何かしら伝って行けば辿り着けるのかもしれないのだ、という不確定的な確信を抱いていたのだ。その確信をも超越する現実は甚だ恐ろしく、地獄が地獄を呼び寄せる(Abyssus abyssum invocat)と言う言葉を直に瞼に焼き付けた。
「…助ける為の力はあるわ。でも私だってこの世界のことは余り知らないし、どうやってあなたたちが助かるのか、それすらも知らないわ。手段あれども目的知らず、よ」
「まだ来たばかりなんですね。なら私が説明します」
すると女性は何も知らない彼女にこの世界のことを語りだした。淡々と、時にはその口を暴虐の彼岸に連れて生かせる鞭と化させる口調は、霊夢をのめり込ませた。
―――――この世界は、政府と手を結んでいる会社である「株式会社:PYT研究所」が実質的に支配しています。
その会社こそ、私たちを他の世界から連れてきては、抵抗しないように背中にPDMという装置を付け、抵抗する力を奪った上で、私たちを奴隷として売り捌き、そして無限に働かせられます。
ここは交代制で働いている奴隷が多いので、その為に政府が作った「待機用スラム街」なんです。当番が回ったら、番が終わるまで酷い目に…。
―――――ここからはPYT研究所で勤務している私たちの主人の話を盗み聞いた話なんですが、私たちの力はPDMを通じて本部に送られた後、5個あると言われている、「GENESIS」と呼ばれる巨大なスーパーコンピュータに力が分割して転送されるそうです。
1つの力を同じ場所で蓄えるよりも分割した方が暴走時の安全性が高い、と聞きましたが…。
───要するに、5つのそれを壊せば私たちに力が戻ってきて、私たちもようやく抗えるようになるのです。その時こそが、あの会社の終焉です。
…お願いします、どうかGENESI
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