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あった、鍵が差しっぱなしの黒塗りのバイクに跨った彼女はそのままアクセルを切る。恐らくは一時的な駐車で泊めていたものであろうか。
襲い掛かってきた男たちはバイクに乗って逃走する彼女を追いかけようとするが、間に合わなかった。
◆◆◆
「どうやらこの世界に来たみたいだわ…」
警察からの情報を受けたパチュリーは高層ビルの窓から下を見渡しながら呟いた。その横には「和」の文字が刻まれたヘッドホンをつけている、もう1人の同期がいた。その同期の名は神子と言った。黄金色の髪を陽の光に映えさせては、ただ黙然としている。
2人の後ろにはスーツ服姿の社員たちがしっかりと整列していた。
「…そうみたいですね。後はあの巫女だけ。…今までずっと他の並行世界に行っていたようなので、捕まえるのは一番最後になりましたが…もう終わりそうですね」
「これで金づるは消えたわ。また新たな金づるを探すのよ。そうしないと、また社長に怒られるわ」
パチュリーは右手で指パッチンをすると、スーツを纏った社員がパチュリーに1枚の書類を渡す。
書類には赤と青の折れ線グラフが書いてある。比較表であった。
「これが今月の合計費用と予算よ。…今までは幻想郷の奴らを売っていたから利益が順調に伸びていたけど、これからは厳しい道を歩むことになりそうね」
「でも並行世界…パラレルワールドはいくらでもあります。…何とかなるでしょう。後はPDMの生産費用が嵩張らないことを頑張るだけですね」
神子も右手で指パッチンすると、パチュリーとは別の社員が巫女に書類を渡す。まるで召使いのようである。
「PDM…大体1つあたりに生産費用が3万です。再利用が出来るから沢山生産する必要は無いですが、1人の力を完全に抜き取るまで2か月。…つけた瞬間に力の80%を奪えるのは素晴らしいものの、完全に抜かないと暴れる可能性があります。…だからその「空虚紀」を補う為に新たなPDMが必要なのです」
「分かってるわ。でも最近は政府も私たちの行為を認めて援助金を大幅に出してくれるじゃない。それに民衆たちも奴隷のお陰で助かってるわ、いざとなって増税しても何も反論しなさそうよ」
すると神子の携帯に何かの着信が入る。ふと手に取り、彼女が手早く応答する。相手はボソボソ声で静かに告げた。その内容に神子は驚きを隠せなかった。
「はい、こちらPDM担当課の神子です。…え?あの巫女が大暴れしていて警察への通報が絶えない!?」
◆◆◆
彼女は奪ったバイクで道をひたすら走り続けた。ガソリンとか彼女は全く知らず、永遠に走れるものだと思っていた。限界突破を信じていたのだ。
時速100kmで普通の道を駆け抜けるため、信号無視は当たり前。逆走という概念を知らない彼女は対向車にぶつかりそうになりなが
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