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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第四十二話 後始末
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んと流れていて、呼吸もしているのに。

 心臓が動いているし、脳も活動しているから生きているけど、目を覚まさなければそれを実感できない。
 
「私も日々、海嶺さんの様態に関わる資料を読み尽くしていますが、どれも根本的解決には」

「そうですか」

 申し訳なさそうにしているが、リンシアさんには感謝しかない。

 多くの医者が現状維持に重きを置く中、解決法を必死に探してくれているのだから、リンシアさんを感謝はすれど責めるだなんてできるものか。

 現にこうして別の次元世界に足を運んでまで姉さんに会いに来てくれたんだ。

 本当に心の底からこの人の存在には救われてると思う。

「リンシアさん、一ついいですか?」

「はい?」

「姉さんが目覚めない理由で、リンシアさんがこれじゃないかと思うことはありますか?」

「病気なのか、そうでないか……ですか?」

「はい」

「……」

 俺の問いに、リンシアさんは腕を組んで目を閉じた。

 きっと全ての知識を用いて様々な仮説を立てているのだろう。

 多くの医者が姉さんに対して様々な仮説を立てたけど、どれも説明不充分だと感じた。

 いや、それはしょうがないことなのだろう。

 だって父さんや母さんと違い、姉さんは無傷で意識を失っていただけなのだから。

 父さんと母さんには切り傷があった。

 不意打ちによる一閃が致命傷だったのだろう。

 だけど、姉さんと俺は無傷で発見され、姉さんは意識不明。

 この差は何なのか。

 姉さんが意識を取り戻さないのは、そこに全てがあるんじゃないかと思う。

 だけど俺は医者じゃない。

 医療知識なんてほとんどなく、素人の仮説ほど役に立たないものはない。

 だから専門のリンシアさんから意見がもらいたかった。

 そう思いながらしばらく待つと、リンシアさんは真剣な表情のまま目を開ける。

「まだ未熟な知識ですが、よろしいですか?」

「お願いします」

 未熟で構わない……というか、俺はリンシアさんを未熟だとは思わない。

 どれだけの名医がどれだけの仮説を立てようと、俺はきっとリンシアさんの方を信じるだろう。

 それほどまでに、俺はこの人を信じているから。

「……病気と言うのは、遺伝や病原体、体質など、調べれば必ず特定できるものです。 海嶺さんの場合、身体の全てを検査しても異常は見られず、むしろ健康体。 つまり病気ではない」

 本来ならば……と、言葉を濁したのはきっと、目を覚まさないのと、成長と老化が起きないからだろう。

 病気ではないが異常状態と言う矛盾。

 これに仮説を立てるのであれば、恐らく、

「ここからは医療分野
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