終演
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頓挫されて、これからどうすればいい、という問いかけへの彼からの返答を。
――生きるしかない。
「何の答えにもなってないじゃん……」
愛には知るよしもないけれど。ショウキの言葉は、愛した少女を二度も亡くした少年への返答と同じだった。愛の言葉通りに何の答えにもなっていない、気の利いた気休めの言葉ですらない。
「……ま、お兄に会いに行くチャンスも、生きてればまたあるってことかな……」
ただし気休めではないからこそ事実であり、愛は気楽に次の目標を呟いてみせると、外の景色を眺めるのを止めて目をつぶっていた。これから随分と死銃事件の罪とやらの償いをすることになるだろうが、生きていればいつか死ぬことは出来るだろうと、愛は心中で諦めることなく空想を描いていた……結果的に、彼の言った通りに動くのは、愛にとっては忌々しい話だったが。
「じゃあね、ショウキくん……大っ嫌い」
二度と会うことのないだろう、会う気もさらさらない、愛を助けてくれなかった彼に別れの言葉を。ついでに最後に残した呪いが彼を苦しめてくれるならば、今の愛にとっては、これ以上に嬉しいことはないと祈りながら。愛は車が止まったことを他人事のように捉えていた。
「……じゃあな」
もう二度と会うことのないだろう彼女が乗る車を見届けた後、アミュスフィアなど一式が入ったリュックを背負うと、もう振り返りはしまいと駅に向かって歩き出していく。手を回してもらった菊岡さんには感謝しているが、ここからは自分で干渉してはいけない領域の話だ。いつか彼女が罪を償える日が来ればいいと、ただ祈るばかりでいて。
「終わったの?」
「シノン? その……」
そうして俺を待ち構えていたかのように立っていたのは、シノン――現実の朝田詩乃だった。どうしてここに、という問いを出したいのはやまやまだったが、彼女はデジタルドラッグの後遺症で伏せっているはずでもあり。どちらを聞こうか迷っていたところ、一息とともにシノンから言葉が紡がれた。
「いつまでも寝ちゃいられないわよ。でも現実に残ってたのは確かだから、リズにあんたの様子を見てくるように頼まれてね」
「そうか、リズに……」
そう言いながら装着された《オーグマー》を指で示してみるシノンに、ばつの悪そうにしながらあらぬ方向を向く。わざわざ俺とリーベの戦いに駆けつけてくれたリズに対して、手早くことのあらましを告げたままログアウトしてしまったからだ。リズは何か言ってなかったかと、チラリと視線でシノンに問いかけてみれば。
「レインの店でやるケーキバイキング。奢りだって。……そんなことより、終わったの?」
「ああ。こっちは、大体」
溜め息まじりにリズの伝言を教えてくれるシノンの眼光が、死銃
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