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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第四十一話 家族を選ぶこと
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プセルに入れるのは原則として禁止されている。

 それでも行うのは非合法の実験、禁術の研究、レアスキル持ちの人間の遺伝子研究などを目的としているものばかりだ。

 それら全ては禁止されて、行えば死罪になることだってある重罪だ。

 だけど、そう言う違法なことをしているから驚いたわけじゃない。

 俺たちが驚いたのは、カプセルの中にいる“少女”の姿だ。

 培養液に漬けられ、体育座りで眠りっている、金髪の長い髪が特徴的な少女。

「っ……」

 俺の右手を握る、金髪の長い髪が特徴的な少女の左手が、今までにないほどの力が込められる。

 そんなフェイトを見ず、プレシアは俺を射抜くような眼光で睨む。

「あなただけ?」

「戦いに来たわけじゃない。 大人数じゃ話せないこともあるだろうしな」

「話すことはないわ」

「悪いけど、こっちは話してもらわなきゃいけないことがたくさんあるんだ」

 少なくとも、目の前の光景くらいは教えてもらわなければ困る。

 フェイトと瓜二つの少女がなぜ、生体カプセルの中で眠っているのか。

「私には時間がないの。 あなたの質問に答える時間もない」

 そう言って彼女は自分の背の高さに迫るほどの長さを持つ長杖型デバイスをこちらに向け、魔力を込める。

 紫色の魔力光が電気に性質変換され、杖の先端で雷の槍を生み出す。

 それを俺たちに向け、

「ジュエルシードを今すぐ全部、私に渡しなさい」

 さもなくば撃つ。

 そう言う意味合いで彼女は俺たちに杖を向ける。

「母さん、聞いて」

 フェイトは不安げな表情のまま、プレシアに声をかける。

 しかしその表情はとても、親が子どもに向けるものとは思えないほど濃い怒りを帯びていた。

「フェイト……あなたには心底ガッカリしたわ。 思えばあなたは最初から、私を失望させ続けていたわね」

「え?」

 フェイトはどういう意味なのか理解しきれない様子でプレシアを見つめる。

 最初から。

 その意味が、俺にも理解できなかった。

「私が望んだ形として生れず、私が望んだ在り方をせず、私が望んだことを達成できない」

「……まさか」

 こんな時に限って俺の思考は物凄い勢いで、最悪のシナリオを描き出す。

 プレシアの言動、フェイトの対応、二人の距離感。

 そして生体カプセルの中で眠るフェイトと瓜二つの少女。

 今ここに、全てのカードは揃った。

 それらを全て並べていき、俺が今までに経験してきたことと、ケイジさんたちが経験してきたことを思い出しながら、この事件の全てを解明していく。

「あら、あなたはそこの出来損ないと違って理解が早いようね」


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