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真田十勇士
巻ノ百六 秘奥義その一

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           巻ノ百六  秘奥義
 父のことが気になる幸村だがそれを直接昌幸自身に言うのは駄目だと思いそれであえて言わずにだった。
 彼は朝起きて稽古と朝飯の後でその昌幸のところに行ってそのうえで彼に頭を下げてこう言った。
「真田忍術の秘奥義ですが」
「身に着けたいか」
「はい」
 こう言うのだった。
「是非」
「そうか」
 昌幸は幸村の言葉を聞いてまずは静かに頷いた、そのうえで彼に対してこう言ったのだった。
「何時かかと思っていた」
「それがしがこの話を申し出るとですか」
「そうじゃ」
 まさにというのだ。
「そしてその時が来たな」
「では」
「お主に巻物を渡す」
 秘奥義を書いたそれをというのだ。
「身に着けよ、しかしな」
「その秘奥義を身に着けることはですな」
「これまで出来た者は一人だけじゃ」
「その一人が、ですな」
「我等の祖じゃ」
 真田家のというのだ。
「あの方だけじゃ」
「それ程のものですな」
「しかしお主なら」
 幸村ならというのだ。
「若しや、な」
「出来ると」
「そうも思う」
「では」
「やってみせよ」
 こう我が子に告げた。
「よいな」
「わかり申した」
 幸村は父に率直な声で応えた。
「ではこれより」
「受け取るがよい」
 昌幸は早速だった、一巻の巻物を幸村に差し出した。幸村はその巻物を受け取り早速だった。
 自身の部屋で読みはじめた、それを読んで早速修行に入るが。
 これまでの武術や忍術の修行に座禅もするのはこれまで通りだった。そして学問も行っていたが。
 寝る間を惜しんで座禅、もっと言えば睡眠と座禅が共になった様な修行を見てだ、十勇士達も言った。
「殿、その修行は」
「寝る間を座禅にあてておられますが」
「それがですか」
「秘奥義の修行ですか」
「うむ」
 その通りだとだ、幸村は十勇士達に答えた。
「こうしていけばな」
「秘奥義を備えられる」
「巻物にはそう書いてありましたか」
「その様に」
「寝ることもなくじゃ」
 そうしてというのだ。
「修行を重ねてその先にな」
「秘奥義がある」
「そうなのですか」
「では、ですな」
「寝ることもないとは恐ろしいですが」
「あまりにも厳しい修行ですが」
「これを続け倒れぬならばじゃ」
 そうならばというのだ。
「必ず辿り着けるという、しかしな」
「はい、人は食い寝ずばです」
「すぐに倒れてしまいます」
「人は寝ることも必要です」
「そうしたものなので」
「わかっておる、しかしな」
 それでもというのだ。
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