第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
仲間
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れはよかった、とサスケが呟いた。
「まだ砂に覆われていない下半身は一番防御が薄かったみたいだしな……」
見れば大樹の幹は大きく抉れ、枝の上に砂がさらさらと音を立てて流れ落ちている。我愛羅の砂色の左半身が砂に帰すのとは反対に、サクラを締め付ける砂の手は以前として彼女を圧迫し続けている。彼女の顔が再び、苦痛に歪む。
「おい、ナルト。……サクラはお前が意地でも助け出せ。そして助けたら、サクラを担いでさっさと逃げろ。――俺なら、やれる」
「サスケ……お前」
「そしたら……今の俺でも足止めできる! ここで終わるなら……俺もそこまでの奴だったってことだ」
黒い服の後ろに浮かぶうちはの家紋。ナルトはただ呆然とそれを見上げた。
「俺は全てを一度失った。……もう、俺の目の前で……大切な仲間が死ぬのは――見たくない」
たいせつな、なかま。ナルトが呆然と呟く。認めてくれた。サスケは自分やサクラのことを大切な仲間だと、認めてくれた。
同時に脳裏に蘇る記憶の数々。Cランク程度だと思っていた任務が危険なものだとわかったとき、「俺の仲間は絶対殺させやしないよ」と笑ったカカシや、サスケを守る為に必死にクナイを構えたサクラの姿が思い浮かぶ。
「そうか……そうだってばよ」
拳をぐっと握り締め、立ち上がる。左半身が完全に崩れた状態で我愛羅が振り返った。
「自分に似てるから。同じような寂しさとか悲しさとか感じて、生きてきたから。――そんな孤独の中で自分の為だけに戦い続けてきたあいつを強いと、俺は思った」
「……ナルト」
「でも、本当に強いって、そんなことじゃなかったはずだ。自分のために戦って、本当に強くなんか、なれねえんだ」
いつぞやの波の国。であった白という、華奢で女性らしい顔立ちの少年が問うた。君には大切な人がいますかと。そして言った。人は、大切な何かを守りたいと思った時本当に強くなれるものだと。
その少年は血継限界をもち、とても高い実力を持っていた。――彼は再不斬を大切に思っていた。だからこそあんなに強かったのだろう。再不斬が重傷を負い、両腕を使えないながらもガトーを倒し、その部下を蹴散らすまでの力を残していたのも、きっと彼が自分が白を大切に思う心に気づいたからだ。
ナルトも今、思い出した。そうだ。自分は守るためにきた。里を。そして、仲間を。
印を組む。全身からあふれ出すチャクラにサスケが目を見張る。
――絶対、守り抜いてみせるってばよ!
「多重影分身の術ッッ!!」
緑の森を埋め尽くすオレンジ色は、先ほどよりもずっとずっと輝いて見えた。
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