暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはエトランゼ(異邦人) 再構築
7部 中学生編
3章 夏休み
綾ミッドに行く 葬式
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顔を背けたくなるような轟音。
誰もが俺が無様に吹っ飛ぶ様を想像したと思う。
彼は自分の足でしっかりとその場に立っていた。口の端に流れる血を拭いながら、男を気丈に睨み返している。
倒れない俺に、男はさらに激昂し拳を振り上げた。
それに対応し、俺はこぶしが届く前にその男を殴った。
先に聞いた轟音よりも、もっと異質な音が会場に響く。
男の意識は、一瞬で刈り取られたのだ。
大柄な身体は冗談のように吹っ飛び、ごろごろと床を転がってようやく止まった。
周囲は何が起きたのか理解はしていなかったが、
最初に動き出したのは男の部下だった。
完全にノビている男に駆け寄り安否を確認すると、
上司の復讐を果たさんとばかりに視線を向けてきた。
この段階になって、ようやく周囲の人間も慌て出した。
嘱託が佐官を殴り飛ばしたのだ。
そしてこの葬儀は故人の所属していた地上本部が取り仕切っている。
男の行動を最初から最後まで見ていた周囲の人間はどちらに追従したものか決めあぐねていた。
組織の人間としては男に味方するべきであるが、
最初に問題のある行動をしていたのは男であり、
手を挙げたのも男である。
綾自身は即座に対応したのではなく、一発は無抵抗に拳を喰らってから、反撃を開始した。
最終的に手を挙げたことに変わりはないが、一度は堪えたという事実は、周囲の人間が職場意識に従って拳を振り上げさせることを躊躇わせるには十分だった。
「前に進んで殉職した誇りある人を称えるのではなく、貶め辱めるなんてあったらならないこと。女のやわなパンチ一発で倒れるなんて訓練不足じゃないの。1発は1発だ」
躊躇なく綾に味方する人間もいた。それまで拳を握るだけだった故人の同僚達が綾に掴みかかろうとする男の部下達に、
背後から奇襲をかけたのだ。後はもう、皆入り乱れての乱闘騒ぎである。
厳粛な場であるはずの葬儀会場での乱闘は騒ぎを聞きつけた警備の人間がやってくるまで続き、綾を始め多くの人間がしょっ引かれていった。
綾は警官につれてかれる前に棺桶の前に立ち止まった
「今からティーダに暴言を言うことを許してほしい。
妹が嫁に行くまで死なないって言ってたじゃんか。
・・・執務官のくせに嘘つかないでよ、悔しかったらそこの棺桶から出てきなさい・・・ばか」
そういって綾はしょっ引かれた。
綾はふと思い出したかのようにしょっ引かれながら思念波を送った。
《なのはごめん》
《何か起きたの?警備員が沢山向かっているけれど》
《理由があってしょっ引かれました。今日は2人で食事を取ってね》
《綾ちゃん・・・》
俺はそれっきり念波を閉じた。
また迷惑かけるな
少し自己嫌悪に陥った。
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