第十一幕その十一
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「それも素敵な感じで」
「素敵なのね」
「はい、甘さが」
「適度な甘さということかしら」
「極端な甘ったるさではないですね」
こう言うのでした。
「私の好みです」
「あら、そうだったの」
「はい、甘過ぎるとどうも」
兵隊さんにしてみればというのです。
「苦手なんです」
「個人的な趣味としては」
「そうなんです」
「それじゃあ今日のセットは」
「丁度いいですね」
兵隊さんにとってというのです。
「いや本当に」
「それは何よりね」
「甘いものは好きですが」
それでもというのです。
「極端に甘いと」
「駄目だから」
「これ位がいいんです」
「これ位の甘さのものをなのね」
「はい、ですから」
それでというのです。
「このティーセットは素敵ですね」
「そうなのね、じゃあね」
ジュリアは兵隊さんの言葉を受けてさらに言いました。
「どんどん食べてね」
「このティーセットをですか」
「幾らでも出せるから」
「そのテーブル掛けから」
「ええ、だからね」
それでというのです。
「好きなだけ食べてね」
「そうしていいのですか」
「オズの国では遠慮はいけないことでしょ」
「はい、そう言われますと」
「だからよ」
このこともあってというのです。
「遠慮は無用よ」
「それでは」
兵隊さんも応えてでした、そしてです。
兵隊さんはティーセットを堪能しました、兵隊さんにとって程よい甘さのそれを。そのティータイムの後もです。
人魚の国を案内してもらいましたがここで五人がこんなことを言いました。
「オズの国の人魚は喋ることが出来ますね」
「楽に人間の足にもなれて」
「それからも喋ることが出来ますね」
「それも出来るんですね」
「そうなんですね」
「うん、普通にね」
兵隊さんは五人に気さくに答えました。
「出来るよ」
「そうなんですね」
「人間の足になっても喋られるんですね」
「喋れなくなる呪いとかなくて」
ごく普通にですね」
「そうなれるんですね」
「ごく普通にね」
「だから人魚姫とは違うの」
ジュリアが五人に笑顔でお話しました。
「そうしたことはないの」
「人魚の身体が完全に人間のものになっても」
「それでもですね」
「喋ることが出来るんですね」
「最初から喋ることが出来て」
「それが出来るんですね」
「そうよ、貴方達の世界の物語とは違うの」
人魚姫とは、というのです。
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