32 遊園地
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かい?」
「わ、私たちはいいよ。二人で楽しんできなよ。ねえ、笹山さん?」
藤木の母は笹山の両親に振る。
「そ、そうですね」
笹山の母が答えた。
(もしかして、高いところが怖いんじゃ・・・?)
藤木はそう考えてしまった。
藤木と笹山はブランコに乗って、ワイヤーに掴まった。ブランコが空中に浮かび上がる。藤木は落ちそうでやや恐怖感はあったが、空を飛んでいるようで楽しむ事ができた。やがてブランコが段々と地上に降下していく。藤木と笹山はブランコから降りた。
「藤木君、もしかして怖かった?」
「あ、いや、そんなことないさ!空を飛んでいるみたいで楽しかったよ!」
内心では怖かったのに藤木は嘘をついてしまった。
「そうなんだ、私は落ちそうでちょっと怖かったけど、高いところから色んなとこ見渡せて楽しかったわ」
「はは、そうだね・・・」
一行はドロップタワーに乗ることになった。藤木は笹山の隣に座った。
座席部分が30m上の最上部までゆっくり上昇して、その後、勢いよく降下を繰り返した。全員悲鳴をあげずにはいられなかった。
藤木は上下を行ったり来たりで、心臓に悪く思ってしまった。やっと降りられると、藤木の父が恐ろしそく感じるような表情をした。
「やれ、寿命が縮むと思ったよ」
「父さん、大袈裟だよ・・・」
それぞれの両親は今度は気を休める場所がいいと考え、観覧車に乗る事にした。
(笹山さんと二人で観覧車・・・、あ〜、ワクワクするなあ)
藤木は笹山と二人きりでゴンドラに乗り、恋人同士の一時のようなことを楽しめると思った。しかし、藤木と笹山はそれぞれの両親と乗ることが決まり、妄想通りの事はできなかった。
「藤木君、また後でね」
「あ、うん・・・」
(笹山さんと一緒に乗りたかったのに・・・)
藤木はやや落ち込んだ。相変わらず運が悪い男である。そして家族で観覧車に乗った。ゴンドラは上へ上へと上がっていく。
「茂、向こうが清水だ。あっちは富士山も見えるぞ」
藤木の父が説明した。
「本当だ。こっちは海も見えるよ」
「そっちは焼津の漁港だね」
藤木母が言った。
12分間、観覧車を楽しんだ。笹山と同乗する事は叶わなかったが、藤木は家ではなかなか味わえない、両親と共に一時を過ごすことができたのでそれでも満足だった。
「父さん、母さん、一緒に乗れて楽しかったよ。ありがとう」
「茂・・・」
藤木の両親は息子・茂から観覧車に同乗したこと感謝され、ありがたく思い、涙が出てしまいそうになった。
笹山の家族と再合流し、メリーゴーランドを楽しむこととした。藤木と笹山は馬が隣同士になった。回転している間、笹山は笑顔で満喫しているようだった。藤木は笹山の顔を盗み見る。自分も笹山と同じくらい、いや、それ以上かもしれないくら
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