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とある3年4組の卑怯者
30 泣虫
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何だって!?可哀想だね!席替わってもらった方がいいぞ!まあ、替わってくれる奴もいないか」
「そうだよな、あいつ友達もいないし、泣きまくって嫌われてるからな」
 堀はこのみどりの悪口を言う男子達が何かと気に食わなかった。

 休み時間、みどりは堀に話しかけられた。
「吉川さん、今度の日曜、私の家に遊びに来ない?」
「え、いいんですか?」
「ええ、もちろん!」
「あ、ありがとうございます!」
 みどりは堀に誘われたことが嬉しくてたまらなかった。
「あの、他の子も誘って大丈夫?」
 堀が聞いた。
「え、ええ、大丈夫です」
 みどりは堀と二人でいたいと思ったが、それでは我が儘だと思って承諾した。
「大丈夫よ、一緒に皆とも仲良くなろうね」
「は、はい・・・」
 みどりは何だか堀に救われているようで転校してきたばかりの彼女にありがたい気持ちもあったが、同時に自分のことで負担をかけさせて申し訳ないとも思っていた。堀は前の席にいる男子・泉野栄示(いずみのえいじ)とその隣に座る女子・矢部清子(やべきよこ)に声をかけた。
「あの、泉野君、矢部さん、今度の日曜予定ある?」
「特にないけど?」
 泉野が答えた。
「私もないわ」
「なら私の家に遊びに来ない?私もっとみんなと仲良くなりたいの」
「いいのかい?ならそうしようかな」
「私もそうするわ!」
「ありがとう!」
「そんな、礼を言うのは誘われた私たちの方よ」
 二人と談笑している堀を見てみどりは自分も皆と馴染めるようにしたいと思っていた。その後も堀はクラスメイトを誘おうと話しかけていた。

 みどりは堀と共に帰っていた。するとどこかしらから声が聞こえた。
「なんだよ、あの問題児と帰ってんのかよ」
「ウエッ、あんなのキモいから近づかない方がいいのによ」
 朝、堀にみどりの事を忠告していた1組の男子達だった。みどりは泣きそうになった。それを堀が慰めようとする。
「吉川さん、泣かないで。私は吉川さんの事そんな風に思っていないから、ね?」
「は、はい・・・」
 みどりは何とか堪えようとした。そして昨夜自分の目標を思い出す。
(そうよね。私は泣き虫を治すんだったわ・・・!!)
 みどりはこの機にクラスの皆に迷惑をかけないようにしようと決めたのであった。
「堀さん、今度の日曜、楽しみにしています!」
「ありがとう。私もよ」
「はい、さようなら」
 みどりは今度の日曜を楽しみにしながら堀と別れた。 
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