29 避球(ドッジボール)
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い、二人とも、ゲーム中だぞ」
同じ外野にいる男子が忠告した。
「あ、ごめんね」
「すみません」
少しして授業開始のチャイムが鳴る。
「ああ、終わっちまったか」
「堀、お前のシュートすごいカッコよかったぜ!」
同じチームだった男子が堀を賞賛していた。
「ありがとう。私も転校前はよくやっててね、ドッジボール好きなの」
みどりは気軽に話しかけられる堀が羨ましかった。その一方で自分はなかなかその輪に入れなかった。
そして教室に入り席に着く。みどりは再び堀に謝ろうとした。
「あの、堀さん。さっきはごめんなさい。私本当は堀さんにパスしようとして、そうしたらボールを取られてしまったんです・・・」
「吉川さん、もういいって。ありがとう」
「あ、はい・・・」
「吉川さんとドッジボールできて、楽しかったわ」
みどりはえっ、と感じた。堀がみどりにお礼をしている。みどりは今度は嬉しくてしょうがなかった。
やがて給食の時間になった。みどりはいつもなら独りで黙々と食べるのだが、今日は違う。隣に堀がいる。みどりは勇気を持って堀に話しかけた。
「あ、あの・・・堀さん・・・」
「何?」
「私、堀さんと一緒に給食食べられるなんて、嬉しいです」
「え、そうなの?」
「ええ、私学校に友達いないんで、ずっと独りだったんです・・・」
「そうだったの・・・」
堀が気の毒そうな表情をしていた。しかし、すぐに笑顔に変わる。
「なら私が吉川さんの友達になるわ」
「え?い、いいんですか・・・?わ、私で・・・」
「もちろん、私もクラスの皆と友達になりたいもの!もちろん吉川さんともね!」
「あ、ありがとうございます・・・」
みどりは堀と友達になれたことが嬉しかった。みどりは今日は堀にいろいろと親切にしてもらい、学校生活で最も楽しい日と感じるのであった。
放課後になった。クラスの女子たちが堀に話しかけ、一緒に帰ろうと誘う。みどりは堀と一緒に帰りたいと思った。今まで独りで帰る毎日だったが、今日ぐらいは友達で帰るという事をしたい。彼女はそう思っていた。
「あ、あの・・・!」
「え?」
「わ・・・私も一緒に帰ってよろしいでしょうか?」
みどりは思い切って堀たちに声をかけた。
「もちろんいいわよ」
堀は一切の反対もなく承知した。
「吉川さんも一緒でいいかな?」
「ま、まあ、いいけど・・・」
女子の一人が応答した。
みどりは堀と共に下校するという事は出来たが、慣れない集団での下校で堀になかなか話しかけることはできなかった。そして、堀と道が別れる時・・・。
「私こっちの道なの、ここからさらに向こうの角を左に曲がって二軒目よ」
「へえ、私の家と近いわね!」
「今度遊びに行ってもいいかしら?」
「もち
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