秩序のナイトメア
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僕は喜びで胸を張る。公爵から息子と呼んでもらえたことに、僕は親の愛情を確かに感じた。あんなろくでもないヒトとは比べ物にならない、尊敬に値する存在。その存在が僕を認めてくれた……それだけで僕は満足だった。
「……」
ただ、ふと気づいてしまった。僕が認められたのは良いけど、ゴエティア……いや、その力を持ってるだけで別の存在だが、とにかく彼女は誰にも必要とされていない宙ぶらりんの存在となっている。いくら“生きていない”と言われても、見た目は人型だからなぁ……ちっぽけな気遣いかもしれないけど、僕なりの存在価値を与えてやろうと思った。
「ゴエティア。これからは僕が君を使う。だから僕の許可無く死なないでよ」
「……」
反応は無かった。そりゃそうか、彼女の精神は既に機械も同然になっている。話しかけた所で受け応えするはずが無いか。
「(……ゴーレムクリスタルの出力が一瞬上昇した? ま、恐らくマスター認証で書き換えを行った影響だろうな)」
「じゃあ改めて行ってくるよ、公爵」
それから僕はゴエティアを連れて部屋を出て行き、公爵はゲイザー達が立て籠もったショッピングモールを映すテレビ放送を傍らで見る。同時に公爵はロストロギア・ドッペルゲンガーを使って見た目をクロノ・ハラオウンに変えるのと同時に本局の操縦システムを起動、長い間同じ座標から動くことがなかった巨大建造物をついに動かし始めた……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「おお、おお、見てみろよお前ら。テレビ局のヘリがこっちを見て飛び回ってるぜ」
「管理局の魔導師どももそこら中にいるがな。ま、一生に一度の景色だ、存分に拝んどくぞ」
銃を持った誘拐犯の男達が窓の外にいる人達を見下ろし、下卑た笑みを浮かべていた。ここまでの道中で聞いた彼らの言動から、彼らは自棄になってる可能性が高い。つまり、懐柔などによる説得は困難となる。まあ元から人質の言葉なんかに耳を傾けてくれる人達ではないようだが……。
『こうなった以上、早急に魔力装束の術式を組み上げておくべきでしょう。すみませんが術式を組み上げてる間は返事が出来ませんので、しばらく奥に引っ込んでます』
そう言ってイクスは私の精神世界の奥にこもって、魔力装束……恐らく魔導師のバリアジャケットと同じものの術式を組み上げてる。しばらく彼女の声が聞こえないが、イクスは最善を尽くしてるだけなので文句は無い。
さて、私を誘拐した彼らはミッド中央の大手ショッピングモールに車ごと突っ込み、中にいた客と店員が混乱している間に丸ごと人質にした。そして現在、事件に気付いた管理局やテレビ局などが建物を包囲しつつあり、周囲は肌を刺すような緊張感に満ちていた。
私を含めた人質は建物の3階、イートインコーナ
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