秩序のナイトメア
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ギア・バーラー?」
「俗世では鉄腕王と呼ばれるヴィルフリッドだが、かの聖王オリヴィエの義手を作った者でもある。そちらばかりが有名なせいであまり気付かれていないが、ヴィルフリッドは影で天才クラスのゴーレム生成技術を持っていた。それを全てつぎ込んだのがバーラーというわけだ」
「なるほど、じゃあ他の個体はどこにいるの?」
「残念ながら一切の行方が不明だ。ただ、覇王クラウスなどのベルカの王に匹敵する力を秘めたバーラーは当時の人間に、“悪魔”と呼ばれていたらしい」
「悪魔ねぇ……。化け物ぞろいのベルカでそんな呼ばれ方をされた奴が今の時代で暴れまわったら、管理局のエースが総出でかかっても逆に皆殺しにしちゃうんじゃない?」
「本気を出せば確かにあり得る話だ。話を戻して……ゴエティアはヴィルフリッドから直接他者に譲渡された個体で、時代を経てそれを受け継いだのはまだ肉体があった頃の管理局最高評議会。彼らは管理局を設立し、維持していくために長期間ゴエティアを運用し、そして最高評議会が肉体を失うことになった事件の際に残骸となった……」
「……」
「その残骸から取り出したゴーレムクリスタルを、連中は後生大事に隠し持っていた。連中にとってゴエティアは最も従順で、かつ最強の駒だったからな、肉体を失い、時代を超えても信頼できる存在だった。そして今の時代……正義の名の下に腐った連中の脅威となる存在が増えて来たことから、連中は闇の書の被害者の憎悪を利用してゴエティアを蘇らせるべく、ゴーレムクリスタルを提供し、新たな肉体を用意させるのと同時に邪魔者を消し去ろうと画策した。エリオも大体察しただろうが、邪魔な思想を抱いていた八神はやてをゴエティアの手で秘密裏に処分し、存在と立場を丸ごと奪うつもりだったわけだ。まるでクローンがオリジナルに成り代わるようにな。尤も、こいつがここにいる時点で失敗に終わったのが察せるだろう」
「公爵が闇の書の被害者達のスポンサーだった最高評議会を始末したからね。今頃、資金も切り札も失って右往左往してるんじゃない?」
「いや、闇の書の被害者の中でクローン研究に携わっていた者はこいつの手で皆殺しにされた。肉体とゴーレムクリスタルの適合がうまくいかず暴走状態に陥り、それに巻き込まれたのだ」
あらら、皆殺しにされたんだ……ザマァ。
「実はバーラーは他のゴーレムと桁違いに出力が膨大だがその分不安定で、まともに動かすには起動前に大量のエナジーがこもった物質を融合させる必要があった」
「エナジーのこもった物質? 今では残骸しかないニダヴェリールで採掘されてた魔導結晶のような?」
「いや、魔導結晶では駄目だ。地竜の爪や火竜の牙のように触媒にも使えるほどの物質や、太陽結晶ぐらいの代物が必要で、連中はそれを知らず
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