秩序のナイトメア
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製作していた、八神はやてのクローンを素体にしたサイボーグだ」
「サイボーグねぇ。にしてもこいつ、色んな意味で凄く違和感があるんだけど」
「当然だ、“そいつは生きていない”」
「生きていない? つまりアンデッド……には見えないし、AIのサイボーグってわけでもない。どういうこと?」
「詳しく説明すると、フェイト・テスタロッサやベアトリクス・テスタロッサとは違い、クローンの人格などをサイボーグに改造する過程でほぼ全て取り除き、魂無きゴーレムとして再構成されたのがそいつだ」
「要はクローンを素体にしたロボットってことか。どれだけヒトをモノに変えられるかを実践してるようで、まるで人間の悪意を練り固められたみたいだ……」
反吐が出る気持ちを抱きながら、僕はこのクローンの頭に手を当てて目を閉じる。というのも暗黒物質と電気信号を組み合わせた微弱な電流を流し込むことで、対象の脳内から帰って来た記憶をほんの少しだけ覗き見ることができるのだ。まあ、見れると言ってもあくまでトラウマレベルで強烈にこびりついてる記憶だけなんだけどね。
……薄暗い研究室の中で並ぶ複数のシリンダーの一つに、彼女はいた。目の前には、復讐に執着してギラついた目をした人たちが大勢いる。
『まだだ……闇の書の主を殺すには、まだ力が足りない!』
『もっとだ……もっと力を引き出せるようにしなければ……!』
『しかしこれ以上改造を繰り返せば、誕生前に精神が崩壊して我々の指示に従わない化け物に成り果てるんじゃないか?』
『なに、これの精神なんて在っても何の意味も無いだろう』
『そうね。私達はこれに人権なんて求めてない、ただ復讐を果たしてもらうためだけの道具として作ってるんだもの。ましてや素体はアレのクローンなんだし、こんなモノをヒト扱いする気にはなれないわ』
そこから無限に続く実験、調整、改造、強化……憎しみに染まったヒトがぶつける非人道的行為。こいつは……一切抵抗できず、されるがままに何もかもをいじくり回された。その結果が、完全な人間性の喪失……そして精神の機械化。
「……あ〜クソッ、気持ち悪い。こういう記憶を見ると、フェイト・テスタロッサの甘ったるい理想よりベアトリクス・テスタロッサの血塗られた信念の方がよほど正しく思える。それはそれとして、試しに魔力を繋げてみたけど、確かにゴーレムクリスタルの反応があるね」
「そのゴーレムクリスタルだが、連中もなかなか興味深い代物を使っていてな。古代ベルカ時代の遺物……晩年のヴィルフリッド・エレミアが死の直前に3体だけ製作した究極のゴーレム、“ギア・バーラー”。ゴエティア、アルス・ノヴァ、レメゲトン。その内のゴエティアに使われていたゴーレムクリスタルが核になっている」
「究極のゴーレム?
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