秩序のナイトメア
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断し、自動で永劫回帰を行う。オレはその破滅の条件を模索し、強引にでもリセットさせるべくこれまで多くの策を弄してきた。今回の停戦協定も、ある意味その一つだ。しかし……つい最近判明したのだが、ツァラトゥストラはヒトの意思を観測している、接触も起動もヒトにしかできない。だからヴァンパイアのオレが何をしたところで一切反応しないし、そもそも触れることすらできないのだ」
「だから僕を駒として使うことを決めたんだね。公爵の望み通りにツァラトゥストラを使うヒトとして」
「ああ、だが心しておけ、エリオ。知識もなく迂闊に触れた者は肉体の時間と性質が狂い、寿命では死なない体になる」
「それは不老不死になるってこと?」
「いや、一定の年齢までは普通に老化するし、病気や怪我を負えば容易く死ぬ。要は世界の時間から取り残される、と言った方がわかりやすいか。実は相当昔、迂闊に触れてしまった者がいるのだが、そいつはこの世界から逃げるように去った。果たして今どうなっているかは皆目見当がつかんな」
「ふ〜ん? 途方に暮れるぐらい長い時間を孤独に生き続けるのって、僕じゃ想像もつかないや。……ところでさ、リセットした所で要因が何も変わっていなかったら、同じ結末を辿ってしまう可能性ってあるんじゃない? それに僕達の行動すらも、実は何度も繰り返されてきた事なのかもしれない。それじゃあやり直す意味が無いように思えるけど……そこんところどうなのさ?」
「問題ない。月下美人のように特別な資格があれば、ツァラトゥストラは直接操作することもできる。その場合、永劫回帰を行った者には特別な力が宿るらしい」
「特別な力?」
「ああ、今の世界でも次の世界でも、神に匹敵するほどの圧倒的な力がな。オレ達イモータルはその者を“接触者”と呼んでいる」
「神に匹敵する力……なるほど、接触者になれば運命の一つや二つ、簡単にひっくり返せるって寸法か……ん? その言い方だとこの次元世界のどこかに、“前回の接触者”がいることにならない?」
「その通りだ。あと接触者は前の世界で起こった出来事を夢に見ると聞く。もしかしたら、前回の永劫回帰が始まった状況さえも見たことがあるかもしれないな」
「前回の永劫回帰……それによって今の僕達が存在する次元世界が始まった。なら前回の接触者は何を思って、永劫回帰を行ったのかな」
「さあな。そいつの目的が果たせたかどうかは知らないが、奇跡的に結果を知ることが出来ればオレ達の行動の結果がどうなるかも予想できる。……だがまあ、戻してもどうにもならなかった可能性もあるし、この場合は結果を知らない方が良いか」
確かに……せっかくやり直しても意味が無い結果になってしまったと知るぐらいなら、いっそ知らずに消滅してしまった方がマシだろう。どうせ永劫
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