秩序のナイトメア
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もっと!
「Ah……!」
「ボソボソうるせぇな、静かにしてろ!」
誘拐犯の一人が私の左腕を掴んで、怒鳴り散らしてくる。その瞬間、私は昔サバタさんに教えられた通りに全身の力を振るって大声を出した。
「Ahaaaaaaaaaaaaッ!!!」
「ッ、う、うるせぇっつってんだろ!」
苛立った誘拐犯が一瞬驚いたものの、無理やり黙らせようと殴りかかろうとして……、
―――ズドォォォォォンッ!!!
いきなり窓の外から飛び込んできた装甲車の上からケイオスが跳躍、レンチメイスを誘拐犯の脳天に叩きつけて床に頭をめり込ませた。間一髪で殴られる所だったけど、大声で驚いた一瞬のおかげでギリギリ殴られずに済んだ。
「な、なんだお前は!?」
「動くんじゃねぇ! ここにいる人質がどうなっても―――」
「うるさい、シャロンの歌が聞こえないだろ……!」
誘拐犯の話に全く耳を貸さず、ケイオスは床がめり込むほどの力強い跳躍と同時に、バレルロールしながら弾丸のごとき速度で突貫、CQCらしき格闘術を用いてここにいた誘拐犯5人全員をわずか3秒で、床や壁や天井に頭をめり込ませていた。……明らかにあれは頭蓋骨破損レベルでオーバーキルなんだけど、正直スカッとした。
「は? え? 私達、助かったの……?」
「さ、流石はアウターヘブン社……マジであっという間だった……」
ショッピングモールの人質はあまりに超光速の解決故に呆然としてしまい、助かったことを頭が理解するのに時間がかかっているようだった。ケイオスが私を拘束していたロープを引き千切ったおかげで、私は自由を取り戻せたが、アクシア・イーグレットはまだ終わってないので歌い続けていた。
「全く……人の車を飛び道具にするとは。中には私の大事な商売道具があるのだぞ?」
ドレビン神父が車から出て来たけど、なんか妙な愉悦を感じてるっぽい。車で空を飛ぶなんて滅多にできない経験が出来たからだろうか?
「壊れないようにしたって飛ぶ前に確認したじゃん。車も無事だし」
「空挺戦車並みに頑丈とはいえ、傷はつくんだぞ。……まあいい、それよりも人質の皆さん、いらっしゃいませ。ドレビンショップ特別出張版へようこそ。今ならもれなく私の装甲車への乗車券が一人につき10万GMPで販売中ですよ?」
う、うわぁ、商魂逞しいにも程があるというか……ここが稼ぎ時だと言わんばかりに、安全を売り始めた。いきなりの商売に人質の皆さんもポカンとしちゃってるよ……。でも装甲車に乗せてもらって脱出できるってのは、今すぐ助かりたい人にとってはまさにいくら金を払っても構わない案件だろう。利便性や快適性はともかくとして、安全面は確実に確保できると思い当たった彼らは、こぞって乗車券を求めた。……まぁ、あの
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