秩序のナイトメア
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だが、かつて……原初の魔導師と呼ばれし者がこの世に魔法をもたらしたが故に、次元世界には確約された滅亡……存在していられる時間に制限が与えられた。銀河意思ダークがもたらした“最古のロストロギア・ツァラトゥストラ”の行う“永劫回帰”……時が来れば今の次元世界に存在するモノはことごとく魔力素に分解され、次のやり直された次元世界に存在回帰される……。
でもツァラトゥストラの影響を免れる世界もほんの僅かにある。永劫回帰は何も次元世界全てを分解するわけではない。いつ、何度目の輪廻で起きたのか……それとも実は最初からなのか、コントロールを司る鍵が銀河意思ダークの下から奪われた。それが原因で制御がうまくいかず、効果範囲から逃れる世界が出始めたらしい。しかもかなり特殊な方法で隠されているのか、鍵の所在は銀河意思ダークさえも把握できないようだ。そうして運よく存在回帰を乗り越えた世界は永劫回帰の輪廻から完全に独立し、並行世界として存続していく。かの世紀末世界のように……。
そして分解されて搾りかすとなった前の次元世界は虚数空間に落ちて、次の次元世界で滅びた世界アルハザードという伝説の残滓として伝わる。……何気なく使ってる魔力素が元々前の世界のヒトの魂だったなんて知ったら、今の世界のヒトは果たしてどう思うのかな?
……ま、何を思ったところで、一度手にした力を捨てることはできまい。それがヒトという生物だからね。
「失敗した世界を強制的にやり直すロストロギア……ふと思ったけど、これを作った目的って何なんだろう?」
「それは察するしかない。まぁ、ゲームをリセマラしてる連中とかに聞けば大体把握できるだろう」
公爵なりのブラックジョークに、僕は苦笑する。とにかくツァラトゥストラの性質をゲームで簡単に例えると、ツァラトゥストラは世界の歴史をニューゲーム、またはコンティニューするための道具、永劫回帰も要はリセットボタンとなる。納得できない結果ならリセットボタンを押すかニューゲームでやり直し、やり直された側はリセットに一切気付けない、世界の成り立ちそのものに組み込まれたロストロギア。
そういう性質だからこそやり直した後、誰かが別の選択肢を選んだ世界では、本来死ななかったはずの者が生きていたり、あるいは逆になっていることも普通にある。この世界を箱庭と表現するなら、庭の中でIfを無限に試せるわけだ。そして公爵の目的とは即ち、運命から外れてしまった一部の者を取り戻すことなのである。……今まで色んな悪事に手を染めて来たようだが、目的がやっぱり人間らしいな、このヴァンパイア。
「ところでさ、ツァラトゥストラが発動する条件って、制限時間以外に何かあるの?」
「当然ある。ヒトの手で全ての破滅が確定したその瞬間、ツァラトゥストラはこの世界では未来を望めないと判
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