第百十五話 第5次イゼルローン攻防戦
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ならラインハルト暗殺を謀った憲兵少佐殿は宮中警備隊中佐としてベーネミュンデ侯爵邸で夫人とテレーゼから誘われて優雅な朝食をご相伴に預かりながら、世間話をしていたのであるから、オーディンは平和であった。
「シュザンナ様とテレーゼ様、今日もお綺麗ですわ。私も頑張りますわ」
頑張れ。お姉・・・・そう思うテレーゼであったとさ。
午前7時30分ケスラー艦隊は急速後退を開始した。艦隊はその頃、無人艦は既にコントロール不能状態で漂流する艦を合わせて3000隻以上破壊され、有人艦も30隻近くが撃沈され100隻近い艦艇が損傷し後退していた。
「後退するぞ!」
「後退するぞ!」
ニュアンスは違うが、両軍で同じ言葉が発せられた。
ジリジリと戦い続けた帝国軍が、急速後退を行いはじめた途端、同盟軍のシトレ大将が指令をだした。
「全艦、全速前進!敵の尻尾に食らいつけ!」
追撃してくる敵艦隊に対してケスラー准将は手を握りしめながら叫んだ。
「かかった!」
要塞内ではクライスト大将がトールハンマーの発射準備に余念がない。
「トールハンマー発射用意、艦隊が天底方向へ急速転進後発射する」
砲術長が汗をぬぐいながらタイミングを待つ。
同盟艦隊は混乱しているように見える帝国艦隊に肉薄しながらイゼルローン要塞へと近づいてくる。
同盟軍旗艦ヘクトルでは、シトレ大将が副官のヤン少佐に話しかけていた。
「どうかね、ヤン少佐、我が軍は結構良くやっていると思わんか」
「ええ、今のところは・・・・・・」
「では、近い将来はどうだ?」
「私は悲観的です」
「ほう?」
「味方諸共撃つ、と言う決心を要塞司令部がすれば、万事休すです。恐らく彼等は、味方1に対して敵4を破壊する、と言う算術をたてて自己正当化するでしょう」
「君と同様の懸念は私にもある。其処で作戦参謀達に、些か過激な作戦を考案させたのだ。ビームやミサイルでは埒があかないからな」
「無人艦を使う、あれですか」
その様な話がされている間にもトールハンマーの射程内に帝国艦隊と同盟艦隊の混在が続いている。次第に無人艦は要塞からのコントロールに移り、要塞至近の艦艇は順次要塞内の流体金属内へ逃げ込んでいく。指揮艦のケスラー准将が遂に命令を出した。
「全艦急速転進!天底方向へ張り付け!」
その命令と共に無人艦1万隻程を残して有人艦の内未だ要塞へ帰投して居ない3000隻ほどが急速に天底方向へ逃げ散った。
『全艦急速転進!天底方向へ張り付け!』
その通信が要塞司令部へ流れた刹那、クライスト大将は砲術長に発射を指示する。
「トールハンマー発射!」
次の瞬間イゼルローン要塞表面の流体金属を凹面鏡として利用したトールハンマーが白く輝くビームの柱を発生させた。一瞬に
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