第三章
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「ああ、花澤さんか」
「うん、ちょっといいかな」
「どうしたんだ、一体」
鷹揚でそうしているだけで器の大きさが窺える笑顔だ。特別な笑顔と言っていい。
その笑顔を見上げながらだ。亜由美は言うのだった。
「ええとね」
「何だ?」
「あれなのよ。池端君って趣味は何なの?」
「遊ぶことだ」
その笑顔でだ。弦太郎は亜由美に答える。
「ダチとな。遊ぶのなら何でもいい」
「そうなの。遊ぶことなの」
「だが煙草や薬や悪いことは絶対にしないからな」
そのモラルは守るというのだ。
「それが俺のポリシーだ」
「そうなのね。悪いことはしない」
「そういうことだ。それにだ」
「それにって?」
「俺のダチは皆だ」
こうも言うのだった。彼は学校の全員が友人だと考えているのだ。そしてその友人は校内に留まらない。あちこちに友人がいる男なのだ。
その彼がだ。こう言うのだった。
「当然花澤さんともな」
「じゃあ遊んでいいのね。私も池端君と」
「勿論だ。では何をして遊ぶ」
「人生ゲームとか?」
咄嗟にだ。亜由美はそれを思いついた。
「それとか」
「人生ゲームか。あれはいいな」
「そうよね。深いゲームよね」
「ああ、俺もそう思う」
弦太郎は腕を組み確かな顔で亜由美に答えた。
「じゃあ今度やるか」
「ええ。場所は」
「文芸部の部室がいいな」
実は弦太郎は文芸部なのだ。意外なことに彼は詩人でもあるのだ。それで文芸部の会誌に詩を書いたりする。これもまた趣味なのだ。
そこだとだ。自分から言ってだった。彼はあらためて亜由美を誘った。
「じゃあそこでな。皆と一緒にな」
「ええ、人生ゲームで遊ぼう」
こうしてだった。亜由美は弦太郎と文芸部の部室で人生ゲームをして遊ぶことにした。皆と一緒だがそれでもそれで遊ぶことまでこぎつけたのだ。
その話を亜由美本人から聞いてだ。クラスメイト達は今度はこんなことを言った。
「そういえばね」
一人が言いだ。そのうえで。
他のクラスメイト達にそっと目配せをした。それを受けて。
他の面々は微笑んで頷いた。亜由美に気付かれない様にしてそうしたやり取りをして。
全員でだ。こう亜由美に言ったのである。
「池端君もてるわよね」
「そうそう。ああした性格だからね」
「ルックスだけじゃないからね」
「女の子にも大人気よね」
「そうそう」
「えっ、そうなの!?」
彼女達のそうした話を聞いてだ。亜由美はというと。
この世の終わりの様な顔になりだ。こう彼女達に問うたのだった。
「池端君ってそんなに」
「そうよ。もうね」
「あれで彼女いないってのが不思
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