第二章
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ある休日の朝のことだ、鳥小屋の中に入って急にこんなことを言い出した。
「あれっ、何か」
首を傾げさせてだ、一旦家に戻ってリビングでくつろいでいた両親に言った。
「ちょっと行って来るよ」
「何だ、どうしたんだ?」
「鳥の世話してなかった?」
「ちょっと別の餌が必要になったんだ」
こう言うのだった。
「成鳥用のね、インコのピーコが大人になったから」
「インコって」
母が息子のその言葉を聞いて言った。
「あれだけいるわよね」
「二十羽ね」
「二十羽もいて他の鳥も沢山いるのに」
「よくそんなことわかるな」
父もここで言った。
「そんなことが」
「わかるよ」
当然だとだ、彼は両親に答えた。
「それはね」
「どうしてわかるんだ」
「あれだけいるのに」
「だっていつも見ているから」
そして気にかけているからだというのだ。
「一羽一羽ね」
「何種類も何十羽ずついてもか」
父は首を傾げさせて応えた。
「それでもか」
「うん、皆ね」
「かなり凄いな」
「これ位普通だよ」
「普通じゃない、二百羽以上いるんだよ」
「二百十二羽だよ」
「多いな、それでもだよな」
息子のその面長のせいか鳥に見える顔を見つつ言うのだった。
「御前どの子の顔も名前も一致してるんだな」
「そうだよ」
「それは凄い、しかしな」
「しかし?」100
「御前の夢は昔から聞いてるけれどな」
「ドードー鳥のこと?」
「ああ、あの鳥はな」
流石にというのだ。
「無理だな」
「わかってるよ、それは」
正樹にしてもだった、このことは。
「絶滅したからね」
「だからな」
「そうだ、残念だがな」
「いやいや、わかってるから」
平然とだ、正樹は父に答えた。
「そのことは」
「そうか」
「残念だけれどね」
ドードーの絶滅はというのだ。
「僕にしても。けれどね」
「もういないのならな」
「仕方ないから」
ここで言ってもどうしようもないというのだ。
「だからね」
「いいんだな、ドードーは」
「図鑑とかで見て楽しむよ」
そうするというのだ。
「僕はね」
「そうか、わかった」
「うん、あとね」
「あと?」
「ずっと考えていることだけれど」
正樹は父だけでなく母にも話した。
「若し大地震とかあれば」
「その時はか」
「皆を何とか助けないとね」
こう言うのだった。
「その時はね」
「そうだな、そのことはな」
「考えておかないとね」
両親も正樹のその言葉に頷いて応えた。
「地震も台風もあるから」
「どうしてもな」
「特に地震がね」
これが問題だというのだ。
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