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或る皇国将校の回想録
第四部五将家の戦争
幕間三 伯爵家の政界談義
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准将も含めてな」

「豊長殿の駒城家重臣としての伝手は、私が喉から手が出るほど欲しかったものだ。そして馬堂家も内務省高官である私と弓月家と結びつく事で駒城家内部だけではなく内務省、そして衆民院をを通じて各方面への伝手が急速に伸びている。天領の経済発展に適応する上では必要な手段だったのだが――」
 由房は重いため息をついた

「我々、特に父上に従っている衆民官僚は駒城の配下にはいるわけにもいかない。かといって我々との縁を断つわけにもいかない。特に守原の分離工作に対応するためにも馬堂は離れられず、我々も軍への影響力を失ったら内務省主流としての基盤が危うくなる」
 葵も何となく理解していたことが明文化されると予想以上に綱渡り状態であったのだと生唾を飲み込んだ。

「そういう事だ。戦時に入った事で軍を利用した将家の介入がな――このままだと本当に政争でまとまるものもまとまらなくなる。内務省は我々が握らねばならん」
「面倒ですね‥‥‥」

「あまり考え込むな。お前はお前の仕事のことを先に考えておけ」

「初めて一人で出るのですから‥‥‥自分の立場を考えたいとおもいまして」

「確かにお前も独り立ちだ、まだ若く仕事の責任も上がいる。上手くやれ――お前の義兄上のように筆不精になるなよ」

「はい」
 姉の面倒は碧にまかせるしかないだろうな〜と思い、葵はそっと汗を拭いた。

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