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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第四十話 最果ての果て
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なら、アイツが狙っているのは俺の自滅だ。

 ムスプルへイムからの脱出はアイツの撃破以外に方法がない。

 ならば俺はどのみち、アイツに攻撃しないといけない。

 銃に変えて砲撃を試みてもいいが、恐らくあれは魔力すらも消し尽くしてしまうだろう。

 ならば俺に残されたのは、やはりこの刀一本だ。

 生半可な剣戟ではアイツの炎で刀ごと燃やされてしまう。

 ならどうする?

 ――――答えは最初から決まっている。

 炎が俺を焼き尽くすよりも先に、俺の刃がアイツを斬ればいい。

 熱が追いつかないほどの速度を持って斬り裂く。

 今までやってきたことと、何も変わらないじゃないか。

 むしろ多彩で複雑な技を使う必要はなく、ただ最速のひと振りを放つだけでいいのだ。

 なんて単純明快だろう。

 全ては原点に尽きるんだ。

 斬る。

 ただそれだけだ。

 この局面で、それ以外の何を信じることができるだろうか。

 だから俺は語りかける。

 俺と共に駆け抜ける、最高の相棒に。

「さぁ、行こうか――――アマネ」

《了解、マスター》

 最高の相棒は、ここに来てもいつもと何ら変わらない機械的な返事をする。

 そのことに不思議な安堵感を抱きながら、俺は走り出した。

 足元に魔法陣を生み出し、それを最大の力で蹴る。

 それを全ての踏み切りで使う。

 一歩よりも速く、二歩よりも更に速く。

 加速は繰り返され、俺の駆け抜けた道筋は夜黒の残像を描く。

 全魔力を身体機能上昇に、特に脚力に費やす。

 放つは俺の持つ最速の抜刀術。

 天流・第壱翔 雷切。

 それを炎が焼き尽くすより速く斬り裂く。

 対してアイツは両足を左右に広げ、剣を天に振り上げていた。

 重量がある剣が一番力を出せるのは、やはり上段からの振り下ろした。

 単純明快の、王道の一撃に彼は全てをかけたわけだ。

 己の持つ最強の一手に全てを込める。

 お互いに、己が誇れる結末のために。

 勝敗は予測不可能。

 すでにお互いに満身創痍。

 もはや何の罠もない。

 この一撃が正真正銘、最後だ。

 速度と力のぶつけ合い。

 そこに優劣をつけるとすれば、その刃に込めた想いの強さだろうか。

 この戦いにかけた想い。

 今までの人生にかけた想い。

 誰かの痛みを背負う想い。

 そして、この戦いを勝ちたいと言う強い想い。

 その全てが、己が最も信じ、死線をともに駆け抜けた刃へ託し、

「はぁあああああああああああああっ!!」

「おっらぁあああああああああああっ!!」

 二人の魔導
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