暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第四十話 最果ての果て
[3/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
降りて、別の山を登ろうとしないから。

 だけど俺は楽しい。

 新しい世界を歩くことが楽しい。

 新しい山を登るのが楽しい。
 
 違う景色を楽しめるからこそ、俺は行ける。

 この世に存在し、新たに生まれる無限の武器、無限の魔法。

 それを全て極められる可能性は、天才も凡人も関係ない。

 好きか嫌いか、それだけだ。
 
「ぐっ、お……らっ!」

 鮮血の飛沫をあげながらも、俺の追撃を防ぐためにアイツは剣を我武者羅に振るい、前方に黒炎の壁を作り出す。

 炎の壁は俺が蹴り飛ばした刀をはじき飛ばし、俺はキャッチして後ろに飛ぶ。

《デバイスを蹴飛ばすとは感心しませんね》

 キャッチの瞬間、アマネから不満の声が放たれ、苦笑混じりに謝罪する。

「あはは……ごめんなさい」

《いいえ。 次からは私も蹴飛ばされることを想定してマスターと付き合っていくことにします》

「サッカーボールは友達的な?」

《デバイスにも怒りの感情はあるんですよ?》

「ごめんなさい!」

 低い声で淡々と言い放つあたり、既にマジギレのご様子。

 戦いの高揚感で調子乗っていた俺は即座に謝罪し、頭を冷やす。

「正直、今が一番楽しいんだ。 遊んでるつもりはない。 だけど、刀の剣術だけじゃない。 もっと色んな武器の技ができる……それが楽しんだ」

 様々な武器の、様々な技。

 仲間や敵、憧れの存在たちが見せてくれた。

 俺の持つ見切り、そして模倣は、俺に新たな可能性を紡ぎ出してくれた。

 模倣再現。

 刀やこの身で、全ての技を再現していく。

 その楽しさが生み出す高揚感。

 長いこと忘れていた感覚だ。

 原点に帰ったような、そんな気持ちだ。

《では、この戦場を存分にご堪能ください》

「そうしよう」

 アマネの言葉に頷くと、黒炎の壁が消え、そこからアイツが左手で傷口を押さえながら現れた。

 右手で握った剣はまだ真っ直ぐに構えたままだ。

 その目の闘志は燃え尽きていない。

「獄炎の世界よ。 災厄の剣に従い、仇なす敵を焼き尽くせ!」

 アイツが言い放ったのは、詠唱。

 恐らく何かの魔法だ。

 俺は何が現れるか警戒していると。

《後ろです!》

 アマネの声に反応し、その場から大きく上に飛ぶ。

 すると足元を黒炎の鎖が伸びて俺を縛り付け、焼き尽くそうとしていた。

「ま、また鎖かよ……」

 もう二度と見たくなかったので、まさかすぐまた見ることになろうとは思わず、苦悶の表情になる。

 今日は鎖に狙われる一日になりそうだ。

 そう思いながら、視線をアイツに戻す。

 そこには
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ