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とある3年4組の卑怯者
27 真心(マフィン)
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 笹山は帰宅するなり、昨日作って保存したマフィンを冷蔵庫から取り出した。
「お母さん、今日藤木君と小杉君が来てこのマフィンを食べさせてあげるの。いいかな?」
「あら、よかったじゃない。もちろんいいわよ」
 母は承諾してくれた。

 そして、玄関から誰か来た。
(もしかして、藤木君?)
 笹山は玄関へ向かった。しかし、来たのは小杉だった。 
「おう、笹山。マフィン食わせてくれよ!!」
「あ、でも藤木君が来てからね・・・」
「ああ、わかってるって!!」
 小杉はお邪魔しますとも言わずに入った。その直後に藤木が入ってくる。
「こんにちは」
「あ、藤木君。待ってたわ」
「あ、うん、ありがとう」
 藤木はやや照れていた。藤木は笹山が自分を待っていてくれるのが嬉しかった。これまで笹山からは優しくされていた藤木ではあるが、堀内との一件以来、笹山はより自分と接触しようとしているような感があった。
 藤木は笹山に連れられて居間に入った。しかし、小杉が既にマフィンを5個ほど食べてしまっていた。笹山の母が苦笑していた。
「あ、やだ、小杉君!そんなに食べないでよ!藤木君の分が無くなっちゃうじゃない!!」
「だって、うめえんだもん!!」
 笹山は小杉のこの遠慮ない態度に呆れた。藤木も小杉に呆れた。
(小杉君、どうして君はいつも食べ物のこととなると、そんな図々しくなるんだい?どうして君は食べる事しか頭にないのかい!?)
 藤木は軽蔑の目で小杉を睨みつけた。笹山は皿に残ったマフィンを4個ほど取り上げて、藤木に渡した。
「あ、おい、何すんだよ!!」
「これは藤木君に食べてもらうの!藤木君、召しあがって」
「うん、ありがとう・・・」
 藤木は笹山が作ったマフィンを口にした。生地は柔らかく、非常に美味しく藤木には感じた。
「お、美味しいや・・・、もう一個いいかい?」
「もちろん、食べて!」
 藤木は2個目、3個目と食べた。早食いする小杉とは異なり、マフィンの味をゆっくりと味わい、噛みしめた。藤木は笹山のマフィンを食べて、何かを感じた。
(笹山さんって本当に料理得意だよな・・・。このマフィン、笹山さんの気持ちっていうのかな、そんなものを感じるな・・・)
 藤木は顔が喜んでいた。笹山は藤木のその顔を見て笹山は藤木がこんなに自分のマフィンを喜んでくれていると思い、嬉しく感じていた。
(藤木君がこんなに喜んでいる・・・。すっごく嬉しい・・・)
 笹山も笑顔でいないわけにはいかなくなった。その時、小杉が苦しそうな顔をした。
「やべえ・・・、ちょ、ちょっと、み、ず・・・、水く、れ・・・」
 小杉が勢いよくマフィンを口にするために喉に詰まらせてしまったのだ。笹山の母が水を入れたグラスを持ってきた。小杉がそれを飲み、流し込んだ。
「サンキュ
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