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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第三十九話 アイデンティティ
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 無限に広がる世界の、無限の可能性。

 ほら、あるじゃないか。

 俺が伸ばせる可能性が、こんなにも。

 だから足掻く。

 手を伸ばす。

 空へ。

 俺が目指すべき、新たな頂きへ。

 そのために、燃やせ。

 湧き上がる無限の想いを燃料に、情熱を、もっと強く!

 その想いが、俺を更に一歩、新たな場所へ踏み込ませてくれる。

 できないはずがない。

 どれだけの理不尽と言う運命を突きつけられてもなお、刀を振り続けていた俺だからこそ。

 確かに、天才と凡人じゃ運命に差が出るだろう。

 だけど、それ以上に『想い』がなければ踏み出すことすらできないんだ。

 想いは、別に理屈っぽくある必要はない。

 誰かを納得させる文言を並べなくたっていい。

 誰かに否定されても構わない。

 エゴでいいんだ。

 たとえ、どれだけ大切なものを失っていったとしても。

 たとえ、立ち上がることもできないほど苦しくても。

 たとえ、思い出したくもないほど大きな敗北をした悔しさがあっても。

 全てを背負っても、立ち向かおうとし続ける強い想い。

 それがあるならば、きっとできるはずだ。

 神様が定めた運命だって、切り伏せてその先へ行けるはずだ。

 だから、踏み出せ。

 さぁ、行こう!

 溢れて、爆発しそうな膨大な想いを力に変えて。

 たとえどれだけ深い海の底に堕ちたとしても。

 空へ羽ばたく翼が折れてしまっても。

 這い上がってみせよう。

 空へ羽ばたいてみせよう。

 どこまでも。

 果てを超えて、更なる果てへ。

 これからも。

 いつまでも。

 右手で握り締めているはずの、相棒と共に!

「いくぞ――――アマネぇえええええ!!」

 瞬間、全身から湧き出た膨大な量の魔力が、俺の全身を縛り付けた運命の鎖を引きちぎり、破壊して、

 天まで続く、黒き光で海底を照らした。


*****


「え……っ!?」

「っ!?」

「な……っ!?」

「うそ……っ!?」

 モニターの光景が変わった瞬間、少女たちは驚きの声を上げた。

 画面を覆い尽くしていた黒炎が晴れると、二人がいたはずの建物は完全に崩壊し、その姿を失っていた。

 しかし海底から空にかけて真っ直ぐに、黒き光が伸びていた。

 それは闇のように暗いものではなく、夜のようにどこか明るいような黒。

 恐怖よりも安心感のある黒い光。

 それを出せるのは、彼しかいない。

 少女達の想像通り、光の中から彼は現れた。

 小伊坂 黒鐘。

 海底に沈んだ彼は、自らの
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