26 回顧
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笹山は菓子作りをしていた。ケーキやクッキー、マドレーヌなど、彼女は菓子作りをするのが好きだった。時々友人を招待してご馳走させる事もあった。この日はたまたま月曜が祝日で休みだったためにマフィンを母と作っていた。
「お母さん、このマフィン友達にも食べさせてあげたいと思うけど、いいかな?」
「ええ、もちろん。誰に食べさせるの?」
笹山の母は承諾と同時に質問をした。
「まだ決めてないけど・・・」
笹山は答えた。誰にあげるか迷った。
(城ヶ崎さんとか、さくらさんや穂波さんがいいかな?それとも・・・)
笹山は頭の中で一人の男子の顔を思い浮かべた。
(藤木君、喜んでくれるかな・・・)
笹山はえっ、と気づいた。藤木が頭に浮かんで自分でも驚いた。
(藤木君か・・・)
笹山は藤木の想いに気付いたあの日を思い出した。
授業中、急に2組の堀内竜一という男子が4組の教室に入り込んだ時、笹山は堀内から嫌がらせを受けていた。その時、一人の男子が助けに入った。それが藤木茂だった。彼は必死で堀内を追い出そうとした。そして皆が加勢して一旦のところ騒ぎは収まった。
笹山は藤木に感謝した。そのため、授業が終わったとき、藤木に礼をしたのだ。そして、また堀内が因縁をつけて藤木に襲い掛かった。笹山は助けてくれてたのに襲われる藤木を放っておけなかった。さっきのお返しで今度は自分が藤木を守らなければと思い、藤木を蹴りつけようとする堀内の前に立ちふさがった。そして、自分が藤木の身代わりで顔を負傷した。そして、騒ぎが大きくなる中、保健係に保健室まで連れて行って貰った。
保健室にいる間、笹山はなぜ藤木を守ろうとしたか改めて考えた。それは藤木は自分にとって大切な存在だったからかもしれない。1年生の時初めて会ったときから彼が心配で気の毒に思っていた。藤木の空回りで機嫌を損ねたこともあったが、それでも藤木を見捨てられなかった。いつも卑怯と言われて可哀想に思ってしまうからだったからかもしれない。話を戻す。自分を必死で守ってくれたのに、藤木がやられる光景など痛々しく、そのままにできなかった。だから藤木を守ったのだ。
3年4組の教室に戻ったときも、自分の家に見舞に来た時も藤木は非常に罪悪感を感じていた。笹山は藤木は悪くないと慰めた。見舞いに来たリリィと城ヶ崎が帰って藤木と二人きりとなった時、藤木から変に思わなかったか聞いてきた。堀内からの嫌がらせを受けた時は気が動転していて何も感じなかったが、以前藤木からケーキの形の消しゴムを貰ったときは嬉しかったと同時になぜリリィが好きなのに自分にもくれたのかが気になった。藤木の「他に好きな人がいる」という答えにえっ、と感じた。
「その人は一年生の時から好きだったんだ。卑怯と呼ばれる僕にもいつも優しくしてくれて、お返しにその人
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