第一話
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ははは、手厳しいね。まあいいさ、とにかく入学おめでとう。君がトールズに来てくれる事、僕の企みに乗ってくれた事を嬉しく思うよ。」
「一度この国から離れ家すら無くなったにも関わらず再び拾って貰った上に軍の役職を与えてくれた義理は果たしますよ。」
ここまでの会話で分かるとおりカイムは元はこの国の貴族の生まれである。
王室に代々仕える料理人の家系であるグレイス伯爵家の生まれでありそれ故にバルフレイム宮に訪れる事もあった。その後の事情でバルフレイム宮に住み込みで修練を重ねるようになった為、皇族の面々とも良好な関係を築いていた。
しかし10年程前にある事件が発生、一家はカイムを除いて死去しカイムも行方不明になった。
それから6年後に帝国のある州でオリヴァルトの妹が誘拐されかけるも、偶然州内にいたカイムがそれを阻止し再会、それ以来再びエレボニアに腰を落ち着けるようになった。
最もこれまでの経験によるものか、あるいは別の要因か国内に戻るのも渋った上に戻っても昔と違い皇族への対応は硬化しておりオリヴァルトの妹と弟はそれに不満を持っていたりするのだが。
「昔から世話になってるんだ、義理とかそういう風に思う必要は無いさ……さて、そろそろ父上達の所に向かおう。父上と母上は見送りは出来ないから今日話したいと言っているからね。」
「そこまで気を使わなくてもいいんですがね。」
「まあそう言わずに付き合ってくれたまえ、さあ行こうか。」
そう言うと残った紅茶を飲み干しオリヴァルトは立ち上がった。カイムもその後ろについていき、皇族が使用する広間の前に向かう。
「父上、母上、カイム・グレイスを連れて参りました。」
そう言いながら扉を開けるとそこにはオリヴァルトの両親でありエレボニアの皇帝と王妃であるユーゲント・ライゼ・アルノールとプリシラ・ライゼ・アルノール、そしてオリヴァルトの妹と弟であり皇位継承権第一位、第二位であるセドリック・ライゼ・アルノールとアルフィン・ライゼ・アルノールが二人を待っていた。
「うむ、ご苦労だったな。二人とも座ってくれ。」
「はい。」
「はっ。」
それぞれ返事をし、椅子に座ったのを確認しユーゲントは話を始めた。
「さて、改めて入学おめでとう。その名に相応しく行動し二年後、更なる成長を経て戻ってくる事を楽しみにしているぞ。」
「お気遣いありがとうございます。」
「あなたがいなくなると寂しくなりますね。……ほら二人とも、そんな暗い顔をしていないで何か話しなさいな。」
プリシラがそう促すとアルフィンとセドリックが口を開いた。
「カイム……手紙、出しますから。必ず返事を書いて下さいね?それと偶にでいいですから王都に戻ってきてくれる
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