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転生も転移もしていない私が何故ファンタジーの世界で魔王と呼ばれる事になったのか。
ネコミミと劣化竜
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 私は現在研究施設の地下三階へ潜っている。

 ネコミミ少女とのある意味衝撃的な邂逅以降、数々の誤解を解く為に朝まで掛かってしまい、他にするべき事が殆どおざなりになっていた現在、漸く現状の把握と生きる為の行動に移れたという訳だ。

 で、件のネコミミ少女だが、現在私が寝ていたラボを生活空間として利用出来るよう模様替えをしている真っ最中である。


『結局魔王で押し通す事になっちゃったけどねぇ』

 くそっ、仕方なかろう、文明レベルが中世辺りの者に科学や物理を紐解いてみたとしても理解なんてされる筈も無く、更にあの少女は労働階級の者だ、こちらの都合を話してみたとしても理解が追いつく素地が無い、簡単な話から始めても、そもそも学問という存在すら身近に無い環境の者には、私の現状を説明しても逆に浮世離れした存在というイメージが強まるだけだ。

『でも現状は君が魔王と言う事で振舞った方が話は早いし、この先生き延びる為にはその方が都合が良いと思うんだけどなぁ』

「確かにザックリした話だけでも現状は厄介極まりない、取り敢えずこの施設の状態を確認する迄は彼女に無理の無い行動をさせる為に、私は限定的に魔王を名乗る方が良いのかも知れん」


 そんな訳でだ、ネコミミ少女を口から出任せで納得させて、問題を先延ばしした今、私が何か使える物が無いかと捜索しているのは別部門のラボ、主に工業系の素材を研究していた場所である。


「流石に二万年も放置状態だと、使える物は殆ど無いな」

『今のとこ回収できたのは布切れ一枚に、セラミック製の器具が数種だけだね』

「それでも何も無いよりはマシ……なのか」

『高密度セラミックの工具は頑丈さは並だけと腐食には強いし、その布は特別製だから、ある意味大きな収穫と言えるんじゃないかな?』

「これは新型宇宙往還機用の断熱素材だったか」

『だね、従来の物より軽量化を求められた結果、メインの断熱材をパッケージングする為の素材として開発されたのがそれって事になってるから、相当強靭な繊維だと言えるかな、ただ一応高圧縮体だから結構な重量があったりするけど』

「むぅ……まぁちょっと厚手の布だと考えればまだ我慢は出来そうだが」

『でも加工する機材が無いからさ、それはそのまま羽織るしかできないよ?』

「それでも機器への取り付けを想定していたんだろう、丁度良い位置に穴が空いているから、そこに紐を通せば外套的な使用は出来そうだ」

『でもそれ羽織ったら余計見た目が怪しくなっちゃうね、魔王様』

「くっ……背に腹は変えられん、取り敢えず現在見れる場所全てを巡っての収穫はドライバーセットと工業用ナイフ、後はこの布だけか」

『流石にメートル級のレンチとか、柄の朽ちた大ハンマーは使
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