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転生も転移もしていない私が何故ファンタジーの世界で魔王と呼ばれる事になったのか。
ネコミミと劣化竜
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い所に困るよね』

「取り敢えず他にいけそうな場所の選定は折を見て探索するしかあるまい」

『だねぇ、他に行けそうなとこに潜るとなると瓦礫を撤去したり、掘削が必要になっちゃうから、その辺りもちゃんと計画しないと』

「ふむ……それでは戻るか、と言っても戻った所で何が劇的に変るでも無いと思うが……」


 半日近く探索して判った事だが、この施設はまだ地下に幾つか空間が残っており、そこを探索すれば何かが残っている可能性があると判明した。

 しかし人類が絶滅して二万年超、その間に朽ち果てず使用可能な物と考えれば、元々あったと思われる物品も殆ど朽ち果て、今私が回収した布や工具の様に、限定的な物しか無いとも考えられる。

 それに問題はそれだけでは無く、ここは現在打ち捨てられた廃墟状態である為、取り敢えず雨露は凌げるがライフラインその物が存在しない。

 本来はこんな探索をするよりも食料と水の確保、それと調理と暖を採る為の火の確保を最優先でどうにかすべきであるのだが……


「あ、魔王様お帰りなさいませ」

「うむ、ただいま」


 今私の目の前にはラボを出て少し開けた位置で食事の用意をしているネコミミ少女の姿があった。

 ラボの奥に転がっていた金属製の洗面器を焚き火に掛け、何やら食材を煮るというそれは正しくサバイバルと言った趣である。


 先ず生きる為の最低限確保すべき諸々だが、この近くには農耕用に引き込まれた小川が流れており、水の確保という最重要課題はあっけなくクリアされていた。

 次いで食材だが、この辺りは大型の物は皆無だったが小動物は割りと存在しており、二人分の胃袋を満たす程度の食材は確保が可能であった。

 と言うか私自体狩猟経験なんぞ無かったのだが、その辺りはこの少女の得意分野らしく、ちょっと一狩りと言う感じで表に出ると、小一時間程で鳥的な何かと、トカゲ的な何かを仕留めて帰って来た、中々やるじゃないか少女よ。

 最後に火は原始的であるが、幾らか確保する方法に心当たりはあった。

 多少体力は使うがまぁそれは生きる為なので仕方なし、と思ったが、その考えは結局無駄という結論に至った。


「……ちょっと火力が足りないかな、ん……んん」


 ネコミミ少女がンーンー言いつつ焚き火に手をかざしている、その様は何と言うか微笑ましい光景とも見えるが、そんな物をのんびり見ている場合では無い。


「ん、これくらいかなぁ」


 彼女がうんうん唸って火に手をかざすと、紅い燐光が発生し、次いで焚き火が一回り程大きくなった。


「火の魔法か……べ、便利な物だ」

「へぅっ、あ、あの、アリィが使える物はお料理に使ったりする程度の初歩的な魔法でしかありませんから…
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