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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第三十七話 決戦
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忘れ、両腕を組んで真剣な眼差しで二人の戦いを見つめ、賞賛した。

 犯罪者との戦いを褒めるなんて管理局の人間失格だろう。

 しかし、見惚れてしまうほどに二人の戦いは激しく、凄まじかったのだ。

 限界を超えた者同士のぶつかり合い。

 超えたものを更に超え、それをぶつけて決着がつかなければ更に限界を超える。

 それをこの戦いの中で繰り返したというのだろうか。

 それは既にケイジですら認識できなくなっていた。

 力が、技術が、速度が、限界が。

 二人は何もかもを超えて、それを繰り返していた。

「正直、アタシは悔しいです」

「え?」

 フェイトは、隣で下唇を噛み締める柚那のほうを向く。

「アタシはお兄ちゃんに追いつきたい。 追いついて、いつか競い合いたいって思ってたのに……」

「……そう、なんだ」

 知り合って間もないフェイトは、気の利いた言葉を返せなかった。

 彼女の同調したのは、彼女の姉である雪鳴だった。

「そうね。 私たちはどれだけ強くなっても、黒鐘はきっと気を使うから」

 そう。

 小伊坂 黒鐘とはそういう人間なのだ。

 大切な人が仮に、自分以上に強くなったとしても、きっと彼は傷つけすぎないために気を使ってしまうだろう。

 無意識で遠慮をしてしまうだろう。

 今の相手、イル・スフォルトゥーナに対して無遠慮で殺そうとするほど、本気になってくれない。

 全てを使い尽くし、限界を超えてもなお立ち向かい、更にその先へ至らせる強敵に、――――ライバルと呼べる存在に、彼女たちはなってあげられない。

 それが悔しかったのだ。

「あんな人じゃないと、お兄ちゃんが本気になれないなんて」

 涙をこぼしていた。

 それだけ、本当に悔しいのだろう。

 雪鳴は無言で柚那に寄り添い、左手で柚那の頭を優しく撫でた。

「なら、諦める?」

「ううん」

 雪鳴の問いに即答した柚那は、両手で涙を拭う。

「そんな簡単に諦め切れるほど、アタシの理想は脆くないから」

 涙を拭った妹の表情は、言葉通り諦めが一切見受けられなかった。

 むしろより前に踏み出そうとする決意すら感じるほど力強く、清々しいと思うほど真剣な表情をしていた。
 
「……そう」

 そんな姿に雪鳴は優しく微笑み、そして再びモニターに映る黒鐘を見る。

「なら、最後まで見届けましょう。 私達の理想が描く軌跡を」

「うん」

「そう、だね」

 柚那とフェイトは頷く。

 側にいたなのはもまた、似たことを思っていた。

 憧れがどこまでも先に向かっていく姿を、何もせずにただ見つめているもどかしさ。

 それを
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